ニュース
6500V定格圧接型IEGTチップを開発、東芝D&S:装置の高電圧化や小型化が可能に
東芝デバイス&ストレージ(東芝D&S)は、高い遮断耐量と短絡耐量を両立させた6500V定格の圧接型IEGT(電子注入促進型絶縁ゲートトランジスタ)チップを開発した。変換装置の高電圧化や小型化が可能となる。
高電圧動作時において安定した遮断特性と短絡耐量を実現
東芝デバイス&ストレージ(東芝D&S)は2026年6月、高い遮断耐量と短絡耐量を両立させた6500V定格の圧接型IEGT(電子注入促進型絶縁ゲートトランジスタ)チップを開発したと発表した。変換装置の高電圧化や小型化が可能となる。
6500V定格IEGTチップは、ダミーセルショート構造を採用した。さらに、ダミートレンチ間のメサ幅を最適化するとともに、Pベース層直下へNバリア層を導入した。これにより、キャリアの流れを最適化し、電流遮断時の電流分布を均一にすることで、高電圧動作時においても安定した遮断特性と短絡耐性を実現した。導通損失とスイッチング損失のトレードオフを改善できたことも確認した。
終端部では、電界を分散するガードリング層と半絶縁膜を用いる終端設計を新たに採用した。これにより、6500V以上の耐圧を達成した。また、半絶縁膜とシリコン界面のプロセス条件を最適化することで、バイアス試験後の耐圧変動を抑え、安定した耐圧特性を実現した。
東芝D&Sは、開発したIEGTチップを搭載した6500V/2000A定格の圧接型IEGT(PPI)「ST2000JXH35A」を製品化した。この製品を採用すれば4500V定格素子を用いる場合に比べ、直流送電システムに用いる素子の直列段数を、約33%削減できるという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
東芝が新SiCパワーモジュール技術、インバーター電力損失30%減
東芝デバイス&ストレージ(東芝D&S)は、データセンターの電源システムなどに搭載される高周波インバーター向け炭化ケイ素(SiC)パワーモジュール技術を開発した。高周波動作によりインバーターの総電力損失を約30%低減できることを確認した。
SiCパワー素子をPCBに埋め込んだ超薄型モジュール、東芝
東芝の欧州現地法人であるToshiba Electronics Europeは世界最大規模のパワーエレクトロニクス展示会「PCIM Expo & Conference 2026」(2026年6月9〜11日/ドイツ・ニュルンベルク)において炭化ケイ素(SiC)MOSFETをプリント基板(PCB)に埋め込んだパワーモジュールの試作品を初公開した。
トレンチゲート型SiC MOSFETで低損失と短絡耐量を両立、東芝D&S
東芝デバイス&ストレージ(東芝D&S)は、トレンチゲート型炭化ケイ素(SiC) MOSFETにおいて、「短絡耐量の向上」と「低損失」を両立する技術を開発した。研究成果の一部を用いて1200V耐圧トレンチゲート型SiC MOSFET「TW007D120E」を開発、サンプル出荷を始めた。
AIが「なぜ異常と判定したか」センサー波形の違いで可視化、東芝
東芝は、インフラ設備や製造装置などにおいて、AIが異常と判断した理由をセンサー波形の違いから可視化する「反事実波形生成技術」を開発した。製造業や社会インフラなどにおける異常検知への適用を視野に入れ、早期実用化を目指す。
パワー半導体3社連合とデンソー提携のアナログ「両軸を強化」 ローム社長
ローム社長の東克己氏は2026年5月12日、「デンソーとの提携によるアナログ、東芝デバイス&ストレージ(D&S)および三菱電機との取り組みによるパワー、この両輪を強化することでソリューション提供力を高め企業価値の最大化を目指していく」などと述べた。
東芝、「疑似量子計算機」を100倍高速化
東芝は、独自の量子インスパイアード組み合わせ最適化計算機「シミュレーテッド分岐マシン(SBM)」における成功確率を、ほぼ100%まで向上させる新アルゴリズムを開発した。しかも、前世代のSBMに比べ10〜100倍の高速化を実現した。



