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ソニー初のLOFIC搭載スマホ用画像センサー 飽和電荷量10倍に単一露光でダイナミックレンジ100dB

ソニーセミコンダクタソリューションズが、モバイル向けとして初めてLOFIC(横型オーバーフロー蓄積容量)構造を採用した積層型CMOSイメージセンサーを商品化した。飽和電荷量を従来比約10倍に拡大するとともに、新たなHDR技術や回路技術を組み合わせることで、単一露光で100dBのダイナミックレンジを実現した。2026年夏に量産出荷を開始する予定だ。

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 ソニーセミコンダクタソリューションズ(以下、SSS)が、モバイル向けとして初めてLOFIC(横型オーバーフロー蓄積容量)構造を採用した積層型CMOSイメージセンサー「LYTIA L910」を商品化した。飽和電荷量を従来比約10倍に拡大するとともに、新たなHDR技術や回路技術を組み合わせることで、単一露光で100dBのダイナミックレンジを実現した。2026年夏に量産出荷を開始する予定だ。

モバイル向けとして初めてLOFIC構造を採用した積層型CMOSイメージセンサー「LYTIA L910」
モバイル向けとして初めてLOFIC構造を採用した積層型CMOSイメージセンサー「LYTIA L910」出所:ソニーセミコンダクタソリューションズ

動画撮影ニーズの高まりに対応

 近年、動画制作やライブ配信、SNS向けコンテンツ制作などの普及を背景に、スマートフォンにはさまざまな環境で安定して高画質な映像を撮影できる性能が求められている。そのため、ダイナミックレンジの拡大や省電力性能の向上が必要になる。SSSは、そうしたニーズに向けてLYTIA L910を開発した。

 LYTIA L910は、1/1.28型(対角12.49mm)、有効約5000万画素、画素ピッチ1.22μmの積層型CMOSイメージセンサーだ。最大の特徴は、モバイル向けイメージセンサーとして初めてLOFIC構造を採用した点だ。LOFICは、フォトダイオードからあふれた電荷を別の蓄積容量に保持することで、限られた画素サイズの中でも飽和電荷量を大幅に拡大できる技術。このLOFIC構造の採用によって、同じ1/1.28型で約5000万画素の従来製品「LYTIA 828」と比較して飽和電荷量を約10倍に拡大した。

独自HDR技術と回路技術で画質向上

 LOFICによって画素の飽和電荷量が大幅に増加した。一方で、明部から暗部まで自然な階調を表現するためには、中間階調の再現性も重要になる。そこでSSSは新たなHDR技術として「Triple Conversion Gain HDR(TCG-HDR)」を採用した。

 従来品LYTIA 828では、2種類の変換効率で取得した画像を合成する「Dual Conversion Gain HDR(DCG-HDR)」を採用していた。これに対しLYTIA L910では、高輝度部と暗部に加え、その間に位置する中間階調向けの変換効率を新たに追加。1回の露光で取得した電荷を3種類の変換効率で読み出し、合成することで、白飛びや暗部から中間階調にかけてのノイズの発生を抑え、明部から暗部まで高画質な撮像を可能にしたという。

 さらに同製品は、電荷から電圧への変換効率を高める「Ultra High Conversion Gain(UHCG)」回路技術も搭載し、低照度下での画質向上に活用。SSSによるとランダムノイズを従来比で約30%低減したという。

従来センサー(DCG-HDR)とLYTIA L910(TCG-HDR with LOFIC)の画質比較 出所:ソニーセミコンダクタソリューションズ

単一露光で100dBのハイダイナミックレンジ

 SSSは、これらの技術によって1回の露光で100dBのダイナミックレンジを達成。低照度環境下でのノイズによる画面のざらつきを抑えるとともに、明暗差の大きな環境での滑らかな階調表現による撮像を可能にしたとしている。

 従来品のLYTIA 828でも100dB以上のダイナミックレンジを達成していたが、その場合は複数回の露光を必要としていた。新製品では、単一回の露光で100dBのダイナミックレンジを確保。複数回露光を行わないことで、動体のブレが抑制され、露光時間が伸びることで、撮像信号のS/N比の改善や照明のちらつきの抑制を実現しているという。

 なお、SSSはLYTIA L910の具体的な飽和電荷量などの数値は公開していない。ただ、同社は米国・ハワイで開催された「2026 IEEE/JSAP Symposium on VLSI Technology and Circuits」(2026年6月14〜18日)において、同様の特徴を持つセンサー技術を発表している。発表内容から、LYTIA L910はその量産モデルとみられる。VLSIでの発表によれば、センサーは読み出しノイズ0.73e-rms、飽和電荷量250ke-を実現しているという。

100dB維持したまま4K60fps撮影が可能

 近年のスマートフォンでは動画撮影機能の重要性が高まっている一方で、消費電力や発熱も大きな課題となっている。そこでSSSは、独自の回路設計と先端プロセス技術を採用し、アナログ/デジタル変換処理の効率化を図った。これによりHDR動作時の消費電力を抑制。その結果、100dBのダイナミックレンジを維持したまま60フレーム/秒(fps)で高画質な4K映像の撮影を実現している。

 また、低消費電力化によって撮影時のプレビュー画質も向上。従来はスマートフォン全体の消費電力を抑えるため、撮影時のプレビュー表示でHDR画質を十分に再現できない場合もあった。これに対しLYTIA L910では、プレビュー段階からHDR画質を確認できるという。同社は「ユーザーが見た映像がそのまま記録される形になる。撮影体験の向上にもつながる」としている。

 LYTIA L910はまず、ハイエンドスマートフォンのフラグシップモデルを中心に展開していく予定。既に採用が決定している端末もあるという。

<LYTIA L910の主な仕様>
型名 LYTIA L910
イメージサイズ 1/1.28型(対角12.49mm)
有効画素数 約5000万画素
ユニットセルサイズ 1.22μm(H)×1.22μm(V)
カラーフィルター Quad Bayer Coding
フレームレート
(全画素AF時)
50Megapixels(4:3) 30fps
12.5Megapixels(4:3) 120fps
60fps(DCG-HDR)
60fps(TCG-HDR w/LOFIC)
4K2K(16:9) 60fps(2x2 Bin, DCG-HDR)
60fps(2x2 Bin, TCG-HDR w/LOFIC)
電源電圧 アナログ 2.8/1.8V
デジタル 0.81V
インタフェース 1.8V or 1.2V
出力インタフェース MIPI C-PHY 2/3trio, Max.6.0Gsps/trio
MIPI D-PHY 2/4lane, Max.2.5Gbps/lane

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