熱電発電と光触媒による水素製造を1枚の膜で実現、東海大:水に浮かべ紫外光を当てるだけ
東海大学の研究グループは、「光触媒による水素製造」と「熱電発電」の機能を、1つの膜の中で実現できる新たなエネルギーデバイスを開発した。
CNT単体に比べ熱電性能は約2.6倍、出力電圧は38%向上
東海大学工学部応用化学科の高尻雅之教授と源馬龍太准教授による研究グループは2026年7月、「光触媒による水素製造」と「熱電発電」の機能を、1つの膜の中で実現できる新たなエネルギーデバイスを開発したと発表した。
研究グループはこれまで、単層のカーボンナノチューブ(CNT)膜を水に浮かべると、水に接した部分が蒸発によって冷却されるため、デバイス内部で温度差が生じて発電することを見出してきた。
今回は、この水面浮遊型CNT熱電発電デバイスと、紫外光を吸収して水素を生み出す光触媒材料のグラファイト状窒化炭素(g-C3N4)を組み合わせた。具体的にはエタノールに分散させた単層CNTにg-C3N4の微粉末を0〜100%の割合で加え、直径が約80mmの複合膜を作製した。続いてポリイミド基板に4枚の複合膜を貼り付け、銀ペーストと銅線で直列につなぎ、水面浮遊型デバイスを組み立てた。
試作したデバイスを水に浮かべ、波長365nm・約1kW/m2の紫外光を照射しながら、出力電圧と発生する気体を測定した。熱電性能を調べたところ、CNTに対してg-C3N4を7.5%加えた複合膜では、パワーファクターが最大18.3μW/m・K2となり、CNT単体に比べ約2.6倍となった。加えるg-C3N4の比率を高めていくとデバイス内に生じる温度差が大きくなった。この結果、100%加えたデバイスの出力電圧は最大5.1mVまで増えた。CNT単体に比べると出力電圧は38%も向上した。
紫外光照射を行うと、水素およびメタンが生成されることを確認した。犠牲剤としてトリエタノールアミン(TEOA)を加え、紫外光を5時間照射した。そうしたところ、水素0.57μmolとメタン1.12μmolが得られたという。
今回の成果は、強い紫外光を用いた原理実証の段階であり、実用化に向けては可視光をより有効に使えるg-C3N4系材料の開発や、自然太陽光下での性能評価などが必要になるという。
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