AI半導体の需要急増 TSMCは対応に苦慮か:米国に1000億ドルの追加投資も(3/3 ページ)
TSMCは、AI顧客からの急増する需要に追い付くために、2026年の設備投資予算を約640億米ドルに増額し、現在米国で進めている既存投資に1000億米ドルを追加するという。
過度な依存
Arete Researchの共同創設者であるJim Fontanelli氏は、数社の大手AI顧客企業への過度な依存は、TSMCにリスクをもたらすのではないか」との疑問を呈している。
「AIが引き続き他のエンドマーケットを大きく上回って成長する中、TSMCは、数少ない顧客に対する集中度(依存度)がこれまでよりもずっと高くなってきている」と同氏は述べる。
それに対してWei氏は「AI市場では、数多くの新しいプレイヤーが登場しており、『新しい産業』だといえる。かつて当社最大の事業分野だったスマートフォン事業は、2026年第2四半期には売上高全体の22%まで縮小した。2025年にAIによるメモリチップ不足が発生したために、スマートフォンの売上高が減少したのだ」と指摘する。
TSMCの高性能コンピューティング(HPC)分野の顧客には、NVIDIAやAMDといったAIチップ設計企業が名を連ねている。TSMCのHPC事業は20%以上成長し、同社の総売上高の3分の2を占めるようになった。
世界中に工場を拡張するTSMC
TSMCは米国での投資を拡大する一方で、台湾にも13カ所の最先端ファブおよび先進パッケージング施設を建設する予定だ。同社の生産能力の大部分は、台湾内の3カ所のいわゆる「メガファブ」に集中している。アリゾナ州は、同社にとって米国初のメガファブとなる。
TSMCは、台湾、米国、日本にそれぞれ1か所ずつ、計3か所の3nmプロセスの製造施設を建設する予定だ。既存の生産能力を最大限に活用するため、同社は5nmプロセスの製造施設を3nmプロセス生産向けに転換している。
今後の見通しについて、TSMCは、次世代ノードは予定通り、数年以内に量産を開始すると話した。
TSMCは、新プロセスの「A14」が2027年に量産開始となる見込みだとしている。さらに、同社では初めてとなる裏面電源供給技術「Super Power Rail」を採用した「A12」の量産は、2029年に開始される見込みだ。ちなみに、Intelは2025年の「Intel 18A」プロセスノードの発表に合わせ、裏面電力供給技術「PowerVia」を導入した。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「半導体業界は黄金期」 TSMCが語る最新ロードマップ
TSMCは、顧客向け技術イベントで最新のテクノロジーロードマップについて説明した。2028年に第2世代GAAナノシート技術「A14」、2029年に「A13」「A12」の量産を予定するほか、「CoWoS」「SoIC」などのパッケージング技術の開発も加速する。
株価爆騰・キオクシアの「これまで」と「これから」を考える
株価が急騰したキオクシア。その背景には、AIの主戦場が学習から推論へ移り、SSD需要が急拡大したことがある。東芝時代からの歴史を振り返りつつ、同社の強みと今後の針路、日本の半導体政策の課題を考察する。
Towerが日本2拠点でシリコンフォトニクス生産強化へ 新井工場を再整備
Tower Semiconductor(以下、Tower)は2026年7月14日、日本国内における300mmシリコンフォトニクス(SiPho)、シリコンゲルマニウム(SiGe)および先端パッケージングの研究開発および製造能力を拡充すると発表した。
「NAND技術革新を支える」、ラムリサーチが四日市に新オフィス
ラムリサーチは、三重県四日市市に新オフィスを開設した。これまで技術サポートとカスタマーサポートを行ってきた2つの拠点を1カ所に集約、顧客との連携を一層強化していく。
SK hynix、韓国内に118兆円投資 NASDAQ上場も目前
SK hynixが韓国での生産能力拡大に向け、1100兆韓国ウォン(約118兆円)を投資する。併せて2026年7月10日には、米NASDAQ市場に米国預託証券(ADR)として上場する見込みだ。
