「ファウンドリーの実力」試されるIntel:業績は回復基調に(3/3 ページ)
Intelの2026年第2四半期(4〜6月期)の決算では、Intel Foundryが回復基調にあることを示すものとなった。Intelは、ファブレス半導体メーカーにとって「TSMCとは別の選択肢」となり得るのか。Fortinetとの協業はその実力を問う試金石となるかもしれない。
「設備投資の増加」は誰のため?
Intelは、設備投資を増加させている。現在のところ、2026年の設備投資費は200億米ドルを超え、2027年にはさらに増大する見込みだという。このような設備投資費の大半は、製造装置やフロントエンドの生産能力、先進パッケージング、基板、メモリ供給などに充てられる予定だ。
経営陣は、「顧客需要に合わせて投資を行い、コミットメントを確定する前に大規模投資を行うことは避けていく」と繰り返し主張した。Zinsner氏は、「投資の増加は、Intelが未来の需要を確信していることを示していると解釈すべきだ」と述べている。
同氏は「われわれは、顧客コミットメントに先駆けて賭けに出るということに対して非常に慎重だが、それを逆に読むこともできる。2027年の見通しに自信を持っているということは、顧客企業についても非常に強い確信を持っているということだ。そうでなければ、現時点で発注をかけていないだろう」と述べる。
しかしIntelは、外部のファウンドリー顧客に対応するための設備投資と、自社独自のプロセッサ向けの需要を満たすために必要な設備投資とを区別していない。
このような区別が重要なのは、Intelが、社内供給に関する制約が非常に厳しい状況にあると説明していたからだ。同社は、サーバプロセッサ「Granite Rapids」の生産量を増やすために「Intel 3」の生産能力を拡大させており、一方で、新規顧客やサーバ製品をサポートするために18Aの生産量も増加させている。Zinsner氏は「18Aの生産量は、目標を約25%上回っている。また2026年前半には、Intelの主要製品である『Panther Lake』のコストを約50%削減した」と述べている。
このような成果は、Intel Foundryだけでなく、Intel Products(Intelの製品事業部門)も同じように支えている。社内需要が高まれば、工場の生産能力を満たし、利用率/歩留りを向上させ、ウエハーコストを削減できるが、外部顧客が他のファウンドリーではなくIntelを選んでいるということは実証されていない。
現時点では「TSMCの脅威」とはならず
Sopko氏は「Intel Foundryは、TSMCにとっての差し迫った脅威になる」とする見方については警鐘を鳴らしている。
「Intelが必ずしもTSMCにとっての脅威になるとは思えない。TSMCは現在、過度にコミットしている状況にあり、需要に対応すべく全速力で突っ走っている。他の企業も半導体チップを生産してパッケージングに対応できるということは、全体としてはプラスの効果となる。今はまだ、必ずしもTSMCとIntelが競争しているというストーリーにはならない」(Sopko氏)
このため、Intelの初期のチャンスは、顧客企業に対してTSMCとの提携を完全に中止するよう説得することではなく、サプライチェーンの選択の余地を与えることによって得られるのではないだろうか。
顧客はIntelをセカンドソースとして承認し、特定の製品をIntelのプロセスで製造したり、またはIntelの先進パッケージングを利用しながら、他のダイは引き続きTSMCで製造することなどが可能になる。Intelは「先進パッケージング技術『EMIB-T』に対する顧客の関心は依然として高く、2027年に顧客が生産を拡大できるよう準備を進めている」と述べた。
このようなアプローチは、最先端ウエハーや先進パッケージング能力が依然として制約されていることもあり、特に魅力的だといえる。また顧客にとっては、フラグシップ製品ファミリー全体を移転させなくても、製造をさまざまな地域で展開することができる。
しかし、選択性の提供は、中間マイルストーンとしての位置付けにすぎない。Intel Foundryは、Intelが外部顧客から主要な製造先として十分に信頼されるようになった時に、より重要な成果を達成することになるだろう。
【翻訳:青山麻由子、田中留美、編集:EE Times Japan】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
27年メモリ市場 DRAMは逼迫継続、NANDは供給緩和へ
台湾の市場調査会社TrendForceによると、2027年のメモリ市場はDRAMとNAND型フラッシュメモリで需給動向が大きく分かれる見込みだ。DRAMは供給逼迫継続する一方で、NANDフラッシュは供給が緩和する見通しだという。
ムーア氏も予見していたチップレット集積 AI時代に重要性増す
横浜国立大学 教授の井上史大氏は、2026年6月に開催された「SEMISOL 2026」の基調講演で、AI時代における後工程技術の重要性が高まっていると強調した。ゴードン・ムーア氏も約60年前に、チップを分割して接続する考え方のコスト優位性を示唆していたという。
AppleとBroadcomの「300億ドル契約」、Intelにもチャンスか
米国EE Timesが取材したアナリストによると、Appleが2026年7月に発表したBroadcomとの300億米ドル規模の契約は、Appleのデータセンター事業における成長とともに、米国のサプライチェーンの強化やIntelの新たなビジネスチャンスを意味しているという。
Intelが高NA EUV露光装置を量産導入 Intel 18Aの一部レイヤーに適用
ASMLは2026年7月15日(オランダ時間)、Intel FoundryがASMLの高開口数(NA) EUV(極端紫外線)露光装置を用いて製造したロジック半導体の量産出荷を開始したと発表した。
Intel、アイルランドに57億ドル投資 Intel 3生産強化
Intelは2026年7月13日、アイルランド・リークスリップ拠点に50億ユーロ(約57億米ドル)を投じ、生産能力を強化すると発表した。AIや高性能コンピューティング(HPC)向け需要の拡大を受け「Intel 3」プロセスで製造する「Intel Xeon 6」および次世代Xeonプロセッサの生産能力を拡大する。
「Wildcat Lake」で最新IPのAI PCを価格重視のユーザーにも、Intel
インテルは、メインストリームAI PC向けプロセッサ「Intel Core Series 3」(開発コード:Wildcat Lake)についての説明会を実施した。フラグシップ製品「Intel Core Ultra Series 3」(開発コード:Panther Lake)と同世代の最新IPを採用しつつ、構成を絞ることで価格重視のユーザーにも訴求する。5年前のPCからの買い替え需要を意識し、性能向上や長時間駆動をアピールする。
![Intel 18Aで製造する「Xeon 6+」のウエハー[クリックで拡大] 出所:Intel](https://image.itmedia.co.jp/ee/articles/2608/10/mm260810_intel04.jpg)