富士通とYaqumo、量子計算アーキテクチャなど実機検証:中性原子型量子コンピュータで
富士通とYaqumoは、中性原子型量子コンピュータを用いて、量子計算アーキテクチャや基本ソフトウェアの実機検証を始めた。量子コンピューティングの社会実装について早期実現を目指す。
量子コンピューティング社会実装の早期実現へ
富士通とYaqumoは2026年9月、中性原子型量子コンピュータを用いて、量子計算アーキテクチャや基本ソフトウェアの実機検証を始めたと発表した。量子コンピューティングの社会実装について早期実現を目指す。
富士通は超伝導量子ビットなどの量子ハードウェアから、量子コンピュータの基本ソフトウェア、誤り耐性量子計算(FTQC)、Early-FTQC時代向け量子計算アーキテクチャ「STARアーキテクチャ」に至るまで、幅広いテーマで研究開発を行っている。
一方、Yaqumoはイッテリビウム中性原子を用いた量子コンピュータのハードウェア研究開発を手掛けるスタートアップ。2027年度をめどに、量子エラー訂正機能を備えた数百量子ビット超の実機を開発する計画だ。
こうした中で両社は、中性原子型における「STARアーキテクチャ」などの適用可能性について、2026年4月から理論検討を重ねていて、2026年8月に実機を用いて検証を始めた。富士通は、オープンソースの基本ソフトウェア「Open Quantum Toolchain for Operators and USers」を、Yaqumo製の中性原子型コンピュータに対応させることで、相互接続を実現していく。これによって、利用者は複数方式の量子コンピュータを、統一したインタフェースで操作できるようになる。
「STARアーキテクチャ」は、量子ビット数を大幅に削減できる可能性がある。ただ、その効果は量子コンピュータの方式によって大きく異なるという。そこで今回、実機を用いて中性原子型量子コンピュータとの適合性を検証することにした。そして、より少ない量子ビットで実用的な量子計算を実現できる可能性を検証していく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
富士通と中華電信、台湾のAPN社会実装で協業
富士通とグループ会社の1FINITYは2026年7月、台湾におけるオールフォトニクスネットワーク(APN)の社会実装と量子技術の活用に向け、台湾最大の電気通信事業者である中華電信と、2年間の戦略的協業を行うことで基本合意した。
「フィジカルAIは次の産業革命」富士通/NVIDIAらが社会実装で連携
富士通が、ファナック/安川電機/川崎重工業とともに、フィジカルAIの社会実装に乗り出す。NVIDIAのフィジカルAI技術を活用し、フィジカルAI向け協調制御基盤の共通化およびオープン化を進める計画だ。
「空間全体」でロボット制御 富士通のフィジカルAI戦略とは
富士通は2026年4月23日、フィジカルAI分野の取り組みについて紹介するメディア向け説明会を開催し、同社の「Fujitsu Kozuchi Physical OS」戦略を紹介した。
創薬での量子コンピュータ使用が現実的に 富士通/阪大
富士通と大阪大学 量子情報・量子生命研究センター(以下、大阪大学)は、量子コンピュータの計算リソースを削減する新技術を発表した。新素材開発や創薬など、化学材料の物性計算への量子コンピュータ適用を目的とした取り組みで、量子ビット数が少なく、誤り耐性量子計算が十分に実現できないとされる量子コンピュータでの化学計算が現実的になる見込みが得られたという。
「世界最高」電力効率74.3%のGaNパワーアンプ、富士通
富士通は、パワーアンプにおいて、8GHzで「世界最高」(同社)の電力変換効率74.3%を達成する技術を開発したと発表した。窒化ガリウム(GaN) HEMTにおける高品質な絶縁ゲート技術を開発したことで、高効率と高出力の両立を実現したという。8GHzは6Gの候補周波数帯であるFR3(Frequency Range 3)の一部だ。
LLMの1ビット量子化、エッジ対応「MONAKA-X」も 富士通の最新戦略
富士通は2025年12月2日、技術戦略説明会「Fujitsu Technology Update」を開催。生成AI関連の新技術や次世代CPU「FUJITSU-MONAKA」のロードマップについて説明した。