7年越しでついに「Pro」へ、Apple独自モデムのこれまでとこれから:電子機器設計/組み込み開発メルマガ 編集後記
長らく開発の難航が報じられていたことを考えると、感慨深いものがあります。
この記事は、2026年10月5日発行の「電子機器設計/組み込み開発 メールマガジン」に掲載されたEE Times Japan/EDN Japanの編集担当者による編集後記の転載です。
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7年越しでついに「Pro」へ、Apple独自モデムのこれまでとこれから
Apple独自のセルラーモデムが、ついにiPhoneのProモデルにも載りました。
AppleがIntelのスマートフォン向けモデム事業を10億米ドルで買収したのは2019年。それから5年にわたり開発の難航が幾度となく報じられましたが、2025年2月に「iPhone 16e」で初の独自セルラーモデム「C1」が登場。同年9月には「iPhone Air」に「C1X」、そして2026年9月についに「iPhone 18 Pro」に最新のC2が搭載されました。
C2はC1Xに比べてアップロード性能を高めながら、消費電力を15%削減。C1/C1Xでは対応していなかった5Gのミリ波にも米国で対応しました。長らく開発の難航が報じられていたことを考えると、感慨深いものがあります。
ルーツをたどればAT&Tまで
AppleがIntelから買収したモデム事業には、長い歴史があります。もともとはInfineon Technologies(以下、Infineon)が所有していた事業で、Intelが2011年に買収しました。
さらにさかのぼると、Infineonは2007年に米LSIからモデム部門を買収しています。LSIも同じ2007年にAgere Systemsを買収して同事業を手に入れ、その後Infineonに売却しました。Agere Systemsは2002年に米Lucent Technologiesから独立した通信用半導体メーカーです。そのLucent Technologiesは1996年に米AT&Tから分離して設立されています。このあたりは、テカナリエの清水洋治氏が連載記事「Apple純正モデムが始動 『C1』のルーツを探る」(下記リンク参照)で詳しく解説しています。
5Gで苦戦したIntel、その事業をAppleが買収
Apple自身、初代iPhoneや「iPhone 3G」「iPhone 4」(GSM版)ではInfineon製モデムを採用していました。その後Qualcomm製に切り替え、2016年の「iPhone 7」シリーズからはIntel製とQualcomm製を併用。2017年には特許ライセンス料などを巡ってQualcommとの特許紛争に突入し、2018年の「iPhone XR/XS」からはIntel製モデムに一本化しました。
ところが5Gへの移行を前に、Intelはモデム開発で苦戦します。2019年4月、AppleとQualcommが全面和解すると、Intelは同じ日にスマートフォン向け5Gモデム事業からの撤退を発表しました。AppleがQualcomm製5Gモデムを調達できるようになったことで、Intelは同事業について「収益性と前向きなリターンへの明確な道筋がない」と説明していました。
その約3カ月後、AppleはIntelのスマートフォン向けモデム事業の大部分を10億米ドルで買収すると発表しました。Intelが5Gで苦戦し、撤退を決めた事業をAppleが買ったことになります。
なぜAppleはIntelが撤退を決めたモデム事業を買収したのか。EE Times Japanでは買収が正式発表される前の2019年6月、「Apple、Intelのモデム事業買収で交渉継続か」で、独自モデムの開発を加速するとともに、将来的には「A」シリーズプロセッサにセルラーモデムを統合する可能性を取り上げていました。
上述の通り、Intelのモデム事業は複数の企業の手にわたりながら長年引き継がれてきたものです。Appleは約2200人の技術者や知的財産、設備を含め、その開発基盤をまとめて取得した形です。
それでも5年以上かかった
ただ、それだけの開発資産を手に入れても、Apple独自モデムはすぐには完成しませんでした。
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