HBMの「電力の壁」破るか 電力効率最大10倍の新メモリ:米新興が27年生産へ(2/2 ページ)
Kepler Computingは、広帯域メモリ(HBM)やSRAMの代替となる新型メモリについて、2027年の生産開始を目指している。独自の3次元(3D)積層技術と強誘電体メモリ技術を活用し、HBMと比べて電力当たりの帯域幅を5〜10倍に高められるという。GlobalFoundriesなどとの協業によって量産を進める方針だ。
業界大手と提携、量産に向けた準備が整う
Intel CapitalのマネージングディレクターであるSrini Ananth氏はEE Timesに対し、「Keplerは、業界パートナーとの協業が可能な段階に到達した」と述べる。
「Keplerは既に、業界やエコシステムを代表する企業と提携している。今こそ、これをより大規模な製造へと発展させる時だ。それによって、新たな規模のHPCアーキテクチャ実現への扉が開かれる。もはや、2次元(2D)のスケーリングによって制約されることはない」(Ananth氏)
SRAMの微細化は数年前に約5nmで限界を迎え、最先端ノード実現に向けた動きの妨げとなっている。
Ananth氏は「半導体製造の配線形成工程(BEOL:Back-End Of Line)を利用して、ファウンドリーのプロセスノードが本来対応できる水準をはるかに超える高密度化を実現できれば、ムーアの法則をさらに進展させることになる」と述べる。同氏はKeplerの5人の共同創設者について、物理学や材料科学、半導体アーキテクチャなどの分野をまたぐ専門家たちによるユニークなチームだと評価した。この5人のうち3人は、かつてIntelに在籍していたという。
Intelで次世代ロジック技術の開発に携わった経歴を持つManipatruni氏は「次世代トランジスタを探すために採用された最初のエンジニアだったと思う。Keplerは、その取り組みの中で、解決すべき具体的なアーキテクチャ上および材料上の課題が明らかになったことから、自然な流れで誕生した。当社のアーキテクチャは、メモリのインターコネクトに関する課題を解決し、HBMのロードマップを大幅に上回るメモリ容量と帯域幅を実現する。HBM固有の物理的な制約にも、実質的に縛られない」と述べる。
HBMとSRAMを代替する2種類のメモリ
Olaosebikan氏によると、Keplerは、HBMとSRAMの従来の区分に収まらないメモリを2種類開発したという。
同氏は「実用上は、一方をHBMの代替品、もう一方をSRAMの代替品と考えることができる。当社のメモリは、SRAMと比べて少なくとも10倍の容量を実現する見込みだ。HBMと比較すると、電力1W当たりの帯域幅は5〜10倍になる」と述べている。
Keplerは、同社の強誘電体メモリに関しては詳細を明らかにしなかった。
Manipatruni氏は「海外の競合メーカーは、われわれの使用する材料と、それによってEUVを回避できることを知れば、こぞって開発に乗り出すだろう。だからこそ、材料の仕様については非常に慎重になっている。過去約7年間にわたり、われわれは強誘電体材料を見いだすために何千回もの試行錯誤を重ねてきた。材料の組成や勾配、電極など、この種の材料を見いだすために必要なあらゆる要素を検討してきた」と述べる。
KeplerのHBM代替品は、同社が開発した3Dパッケージング技術を活用する。
Keplerの共同創設者であるRajeev Dokania氏は「3D集積では、熱関連の懸念が生じる。当社の3Dアーキテクチャは、そうした問題に対応する。従来の方法と比べると熱オーバーヘッドは非常に小さい。このため、膨大な量の帯域幅を極めて小さいエネルギーコストで実現できる」とする。
Keplerによると、2027年分の生産能力は既に全て割り当て済みだという。同社はGlobalFoundries以外の顧客や提携先の社名を明らかにしていないが、AIデータセンター分野や製造業の企業だと説明している。長期的には、ロジックチップの開発も計画している。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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