MLCC/インダクター2本柱で成長市場へ 太陽誘電社長が語る新中計:AIサーバ、自動車へ注力(3/3 ページ)
太陽誘電は、2026年4月から「中期経営計画2030」(2026〜2030年度)を開始した。同計画では2030年度の売上高4800億円、営業利益率15%を目標とする。達成に向けた取り組みなどを、代表取締役社長執行役員の佐瀬克也氏に聞いた。
中国電子部品メーカーの動きはどう見る?
――AIサーバ市場は今まさに急拡大していますが、この勢いは中長期的に続くと思いますか? また、自動車市場は技術発展が当初予測よりも遅れ、成長が停滞している状況ですが、その影響はどうお考えでしょうか?
佐瀬氏 AIサーバに関しては、2027年頃まではある程度予測がつくため準備をしている。今は競争の初期段階で、今後市場の淘汰が進んでいく中でどうなっていくか、注視しながら計画を決めていく。
自動車に関しては、先進運転支援システム(ADAS)や電動化の発展によって自動車1台当たりの部品数が増えていくため、自動車自体の台数が増えなくても需要は伸びる。また、当初考えられていた「2030年にはレベル4自動運転が普及」というのは難しそうでも、現在のレベル2やレベル2.5はかなり高度で、ほぼ自動運転といえる状態だ。そのことからも、部品の需要は伸びると考えられる。
――近年、電子部品の市場では中国系メーカーが勢いを伸ばしているかと思いますが、太陽誘電としてはどのように見ていますか?
佐瀬氏 危機感を持たないといけないとは考えているが、現時点では、製品品質で大きく隔たりがある印象だ。また、欧米系のAIサーバ市場ではノーチャイナ志向、中国国内ではメイドインチャイナ志向が高まっていることもあり、中国メーカーの主な顧客は国内のスマホメーカーや自動車メーカーなどだ。政権の意向などでも変わるため将来的にどうなるかは分からないが、少なくとも現状として、大きな脅威になるとは考えていない。
「サステナブルウェルビーイング」に貢献する会社へ
――改めて、今回の中期経営計画2030によって目指す「2030年の太陽誘電の在り方」を教えてください。
佐瀬氏 存在価値という意味でいえば、世の中の人々が幸せな生活を長く送り続ける「サステナブルウェルビーイングの実現」に貢献する会社だと、少しでも多くの人に思ってもらえるようになりたい。「顧客にとってなくてはならない存在になる」や、先述の「MLCCメーカーから電子部品メーカーへ」などもあるが、いずれも培ってきた技術を生かして、企業理念である「従業員の幸福、地域社会への貢献、株主に対する配当責任」の実現に向けて活動していれば結果的に成し遂げられると考えている。
――2030年以降を見据えた長期的な展望や、それを見据えた活動についてもお聞かせください。
佐瀬氏 太陽誘電ではコア技術を中心に、将来的に必要となるであろうソリューションの研究開発を行っている。例えば今後、宇宙空間への進出が活発化するのに向けては、MLCCの積層や材料の技術を生かした全固体電池の開発を進めている。また、フィジカルAIの発展などに向けてセンシング関連も意識したいところだ。これらは中期経営計画2030ではあまり売り上げに含まれていないが、さらに先で大きな需要が想定できるため、引き続き研究開発を進めていく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
直流抵抗を約5割低減 太陽誘電のパワーインダクター
太陽誘電は、巻線メタル系パワーインダクター「MCOIL LSELシリーズ」として、従来品に比べ直流抵抗を約5割低減した2016サイズの「LSELC2016KKTR24M0N」を含む3製品の量産を始めた。NPUを搭載したAI PCの電源回路などに向ける。
TDKと太陽誘電が協業へ 「資本提携の可能性も含め検討」
TDKと太陽誘電は、両社の積層セラミックコンデンサー(以下、MLCC)やインダクターを含む電子部品の共同開発などに関する業務提携について、検討を開始する旨の基本合意書を締結したと発表した。今後、両社は包括的な業務提携における協業内容、役割分担などについて具体的な協議を開始する。
太陽誘電26年度1Qは増収増益 AI需要でコンデンサーのBBレシオ1.72に
太陽誘電は2026年8月5日、2027年3月期第1四半期(2026年4〜6月)の業績を発表した。売上高は938億9700万円で前年同期比10.7%増、営業利益は48億1800万円で同53.3%増、経常利益は42億6300万円で同1560.4%増と増収増益した。AIサーバ需要の好調などを受け、通期の業績予想を上方修正している。
太陽誘電26年度は営業利益91.2%増 AIサーバ/車載コンデンサー需要で
太陽誘電は2026年5月8日、2026年3月期通期(2025年4月〜2026年3月)の決算を発表した。売上高は3553億円で前期比4.1%増、営業利益は200億円で同91.2%増、経常利益は241億円で同129.4%増、純利益は148億円で同535.9%増だった。AIサーバ/自動車向けコンデンサーの売上増加などが寄与していて、2027年3月期も堅調に需要拡大する見込みだという。
手のひらサイズの固体酸化物形燃料電池が可能に、太陽誘電ら
太陽誘電は、東京科学大学未来産業技術研究所や東京理科大学、フタバ産業と共同で、高い断熱性と耐熱性を実現したカンチレバー構造の「マイクロリアクター」を開発した。これにより、固体酸化物形燃料電池(SOFC)を手のひらサイズまで小型化できる。しかも内部温度が600℃以上で発電中でも、デバイスは手で持てるほど断熱性に優れているという。



