「トイレで毎日がん検査」目指す 太陽誘電のにおい解析:CEATEC AWARD 2026 優秀賞
太陽誘電は「CEATEC 2026」で、尿のにおいをセンサーで検知し、AIで解析することで、がんのリスクを推定するソリューションを展示した。将来的には、トイレに行くたびにがんの兆候をチェックできる仕組みの実現を目指す。
太陽誘電は「CEATEC 2026」(2026年10月13〜16日、幕張メッセ)に出展し、尿のにおいからがんのリスクを推定するソリューションを紹介した。独自のにおいセンサーで取得したデータをAIで解析し、がんの兆候を捉えることを目指す技術だ。将来的には、日常的なトイレの利用を通じて、がんのリスクをチェックできる仕組みの実現を目指す。
同ソリューションは、先進性や社会性、実現性などが評価され、「CEATEC AWARD 2026」の優秀賞を受賞した。
左側の装置が、においセンサーでがんのリスクを推定するソリューションだ。右側は同じセンサーを用いた別デバイスで、がんリスクの推定はできないが、消毒液や接着剤など事前に学習したにおいを識別できる[クリックで拡大]
尿のにおいをAIで解析、がんのリスクを推定
太陽誘電は、電子部品や記録メディアの開発で培ってきた有機/無機材料技術や薄膜技術などを応用し、においを識別するセンサーの開発を進めてきた。今回展示したソリューションは、このにおいセンサーをがんの早期発見に活用しようというものだ。
日本では、がんの早期発見に向けて検診の受診率向上が課題となっている。太陽誘電によると、国が推奨するがん検診の受診率は40〜50%程度にとどまるという。そこで同社は、日常生活の中で手軽にがんのリスクをチェックできる仕組みを提供することで、検診を受けるきっかけを増やそうとしている。
今回のソリューションでは、尿に含まれる揮発性有機化合物(VOC)に着目した。がんに伴う体内の代謝の変化は、尿に含まれるVOCの組成にも表れることがある。同社は、尿を加熱して揮発させた成分をにおいセンサーで測定し、得られたデータをAIで解析することで、がんのリスクを推定する。
使用するのは、水晶振動子を利用したQCM(Quartz Crystal Microbalance)型のにおいセンサーだ。水晶基板上に形成した感応膜ににおい分子が吸着すると、その質量の変化に応じて水晶振動子の共振周波数が変化する。この変化を検出することで、においをデータ化する。
におい分子の吸着しやすさは感応膜の種類によって異なる。太陽誘電が開発しているセンサーでは、16種類の感応膜を組み合わせることで、複数の成分から構成されるにおいの特徴を捉える。各センサーの反応パターンをAIで解析することによって、がんに関連するにおいの特徴を識別する仕組みだ。
将来は「トイレで毎日チェック」へ
同社が目指すのは、がんを確定診断することではない。日常生活の中でがんのリスクに気付き、医療機関での検診や精密検査につなげる「0次スクリーニング」としての活用だ。
2030年ごろの実用化を目指しているが、現状では装置が大きいので、まずは医療機関などへの導入を想定する。健康診断の尿検査と組み合わせての利用などを見込む。
一方、将来的には装置の小型化を進め、トイレに組み込むことも視野に入れる。毎日のトイレ利用の中で自動的にがんの兆候をチェックできれば、利用者が特別な検査を意識することなく、がんのリスクに気付き、早期の受診につなげられる可能性がある。
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