FinFET使わず7nm級の性能、GFの新世代FD-SOI技術:フィジカルAI向け「FDX Fusion」(2/2 ページ)
GlobalFoundriesが、フィジカルAI向けの新世代FD-SOI技術「FDX Fusion」を発表した。同社はAI半導体の次なる巨大市場が、データセンターGPUを巡る競争とは大きく異なるものになると確信しているようだ。
EUV不要、マスク数は約50枚に削減
この新しい基板は、最先端のFinFET技術よりもシンプルなプロセスフローで7nmクラスの性能を達成するという、GFの取り組みの一環だ。Horstmann氏は「7nmクラスの性能を実現する上で、極端紫外線(EUV)は不要だ」と述べる。
「最先端の2nm/3nmのFinFETプロセスに必要なマスク数は70〜80枚であるのに対し、初期のFDX Fusionプロセスでは約50枚となる見込みだ。この基板によって、プロセスを大幅に簡素化できる。マスク数を削減すれば、プロセスの複雑性が低減され、欠陥が生じる機会も減るため、歩留りとコストの両方に対処することができる」(Horstmann氏)
GFは、EUVの代わりに、最先端のArF液浸リソグラフィや、強化されたオーバーレイ制御の他、ドレスデンに拠点を置くマスクメーカーAMTCが提供する高精度マスクなどを採用する予定だという。
Horstmann氏は、「最新のASML製液浸システムは、オーバーレイやCD(Critical Dimension)制御などを大幅に向上させるが、一方でAMTCのマルチ電子ビームマスク描画装置で製造されたマスクは、標準的なマスクと比べてオーバーレイとCDマージンを約30%高められる」と主張する。
このようなプロセス戦略が非常に重要なのは、GFがFDX Fusionを、単に低コストで微細なデジタルトランジスタを製造するための技術として位置付けているわけではないからだ。このプラットフォームは、高密度なロジックと、フィジカルAIシステムに必要な数多くのアナログやRF、メモリ、電源機能とを統合することを目指している。
Horstmann氏は「バルク領域を高耐圧デバイスに使用し、FD-SOI領域を高密度ロジックに使用できる。これにより、異なる機能の統合がはるかに容易になる」と説明する。
GFによると、FDX Fusionは、高密度なデジタルロジックと、高性能RFやアナログ/ミックスドシグナル機能、低リーク動作、組み込み不揮発性メモリ、インメモリコンピューティングとを組み合わせる予定だという。
Horstmann氏によれば、このプラットフォームは、既存のFDXアーキテクチャの低消費電力性能とインテグレーション特性を維持しながら、1平方ミリメートル当たりのロジック密度が約1400万〜1800万ゲートにまで高められる見込みだという。
「超低消費電力と、センサー/アクチュエーターとの非常に優れたインテグレーションを実現する、22FDXのメリットを維持できる。超低消費電力は、自律型モバイルシステムやドローンに不可欠だ」(Horstmann氏)
欧州にとって異なるAI市場の機会
AI半導体市場において、欧州は厳しい現実に直面している。データセンター関連のエコシステムの多くが、既に欧州以外の地域に集中しているためだ。
Horstmann氏は「データセンター向けAIの列車は、既に駅を出発してしまった。しかし、フィジカルAIの市場には、まだ世界中にチャンスが開かれている」と語る。
同氏の主張は、欧州がデータセンター向けAIと同じ競争に勝つ必要はないというものだ。
フィジカルAIでは、低消費電力の演算処理、センシング、通信、アナログ、パワーエレクトロニクスを組み合わせる能力が重要になる。これらは、欧州の半導体産業が以前から強みとしてきた領域と、より密接に一致している。
ドレスデンは、この戦略を支える産業基盤の一部を担う。同地域には既にGF、Infineon Technologies、Bosch、研究機関、サプライヤーに加え、TSMC主導の合弁企業ESMCが集積している。Horstmann氏は「この産業クラスタは、自律的に成長する段階に入りつつある」と説明する。
クラスタの規模が拡大するにつれて、サプライヤーが現地に生産能力を確保し、製造装置メーカーが近隣にサービス拠点を設け、設計企業も地域に引き寄せられるようになる。
同氏は、競合企業であるESMCについても、ドレスデンの産業規模を拡大し、サプライヤーにとって同地域の魅力を高めることで、エコシステムの強化に貢献していると指摘する。
Horstmann氏は、こうした製造規模と差異化された技術の組み合わせが、新たな市場機会を生み出すと考えている。
【翻訳:田中留美、EE Times Japan、編集:EE Times Japan】
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