コラム
狙うはLTEやLTE-Advanced、まだまだ進化するアンテナ技術:無線通信技術 アンテナ設計(2/2 ページ)
KDDI研究所は、ワイヤレス・テクノロジー・パーク2012で、最先端の携帯通信方式であるLTEや、次世代のLTE-Advancedをターゲットにしたアンテナ技術を紹介した。
無線装置とアンテナ素子を一体化
一方の次世代携帯通信方式であるLTE-Advancedを対象にした基地局向け小型アンテナ技術は、従来は分離していたアンテナ素子と無線装置(フィルタやアンプ)を一体化したもの。一体化させることで、無線装置を設置する工事が不要になり、アンテナも含めた基地局を設置する工事に要する期間やコストを短縮できるという。
従来は、送受信でアンテナ素子を共用し、大型のデュプレクサで、複数のアンテナ素子の送受信データを分離するという構成を採っていた。デュプレクサが大型というような要因があったため、アンテナを設置するスペースに無線装置を取り込むことができず、アンテナ素子と無線装置を分離し、それぞれ設置する必要があった。
そこでKDDI研究所では、送受信で共用していたアンテナ素子を送信用と受信用に分離し、それぞれのアンテナ素子に帯域通過フィルタを取り付けるという構成を採ることで、大型のデュプレクサを不要にした。送信用アンテナ素子と受信用アンテナ素子を電気的に分離する技術にノウハウがある。今後、マルチバンド化やビームフォーミング処理への対応を進めるという。
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