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若い時の経験にロスタイムはない:いまどきエンジニアの育て方(18)(2/4 ページ)
出向や異動などで、開発や設計から一時的に離れることになっても、その経験は決して無駄にはなりません。若い時の経験に「ロスタイム」はないのです。“遠回りしてもいい”のだと若手エンジニアに教えることも、上司の役目ではないでしょうか。
若手エンジニア育成再考
これまで、田中課長は、若手エンジニアの育成について、さほど気にかけてはいませんでした。特に意識しなくとも“なるようになってきた”し、課長がいちいち登場しなくとも、先輩社員に任せておけば問題がなかったのです。
田中課長は佐々木さんの質問に答える前に、今回の佐々木さんの育成を通じて気づいたことや、会社として見直さなければならないことを、率直に話し始めました。
■OJTそのものの解釈ミス、会社・組織としての不備
■コミュニケーションが取れない、“職場全体で若手を育てる”風土がない
- 職場全体で若手を育てる社風にしたかったこと:第4回、第10回
- ゆとり世代との接し方、コミュニケーションの取り方がよく分からなかったこと:第5回
- コミュニケーションが取りにくいのであれば、我々上司や先輩が、「若手をバッターボックスに立たせる場面」を用意し、価値観の違いや育ってきた環境の違いも加味しながら対話を試みること。また、育成する側にとってはコーチングなどが必要なスキルであるということ:第6回
■上司、先輩が身に付けていることを伝授したかった
- 自分自身の経験をできる限り伝えたかったこと:第3回
- 製品開発は開発部門だけで成り立っていないことを知ってもらいたかったこと(特に、開発部門の「前工程」である企画・マーケティング部門と、「後工程」である製造部門):第14回、第15回、第16回
- 専門性を高めるために勉強は生涯、必要であること:第5回
■開発部門の管理職として感じたこと
- 管理職である自分は余計な管理業務が増えたこと。会社も製品の短納期開発やコスト削減などにより、若手育成にかけるゆとりがなくなってしまったこと:第9回
- 「マネジメント、組織、人」のことが分かる人間が開発部門にいないこと:第13回
■育成に関してこだわったこと
- 設計の前段階である製品コンセプトやエンドユーザーを知ることの大切さを身に付けてもらいたかったこと:第12回
まぁ、僕自身もいろいろと学んだし、マーケティング部の松田課長からのアドバイスもたくさんあったけどね。
そうだったんですね。
もともと佐々木君は、うちの製品が大好きで入社したって言ってたよね?
はい、そうです。
それを聞いた時は、僕は正直、嬉しかったよ。だからこそ、モノづくりの魂を学んで、これぞ当社の製品、自分が設計した製品なんだと、自信と誇りを持ってもらいたかったんだ。
自分はまだまだ技術そのものが未熟ですし、技術を会得することだけで精いっぱいなので、マーケティングが開発にどう影響するかは、まだぼんやりとしか分かりません。
若い頃の経験で無駄になるものなんて、ないんだよ。
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