スマホも低価格化へ、市場の鈍化は避けられず:ビジネスニュース 業界動向(2/2 ページ)
成長の一途をたどってきたスマートフォン市場も、さすがに落ち着き始めている。フィーチャーフォンにも再び注目が集まるのと同時に、100米ドル未満のスマートフォンが登場するなど、スマートフォンの低価格化が進んでいる。
25米ドルのFirefoxスマホは、低価格スマホの基準なのか
新しい業界基準と言えば、MWC 2014においてSpreadtrum CommunicationsとMozillaが発表した、Firefox OSを搭載した25米ドルという驚異的な価格のスマートフォンには誰もが驚いた(25米ドルのFirefoxスマホ、新興市場を狙う)。
さらにNokiaも、MWC 2014において新型スマートフォン「Nokia X」シリーズを発表した(関連記事:ノキアがAndroid端末を発表、「次の10億人を結び付ける」)。これは興味深いが、Nokia Xシリーズの販売価格は122〜150米ドルに設定されていて、同社の目標である“次の10億人を結び付ける”ことは厳しいのではないだろうか。
Firefox OS搭載スマートフォンは、25米ドルという販売価格によって、Androidスマートフォンがこれまで対応できなかったフィーチャーフォン市場から大きなシェアを奪いたい考えだ。
Jackson氏は、「MozillaとSpreadtrumは、現時点で多くのメーカーがあえてAndroidを選択することが想定されるような価格を下回るよう、25米ドルという価格を意図的に設定した。両社は、革新的なプラットフォームを開発することにより、50米ドルを大幅に下回る価格を実現するに至った」と指摘する。
さらに注目すべきは、Mozillaがこれまでに築き上げたエコシステムが拡大の一途にあるという点だ。MozillaはMWC 2014において、パートナー企業であるALCATEL ONETOUCHやHuawei、LG Electronics、ZTEなどと共同で、Firefox OSを搭載する携帯電話機を7機種、新たに発表している。
Firefox OSをサポートする通信事業者の数も増加している。Mozillaによれば、インドネシアの最大手通信企業であるTelkomselとIndosatが2014年2月、オープンWebデバイスに関するイニシアチブへの参加を表明した。これにより、参画企業は全部で21社になるという。この他の企業としては、KDDI、Sprint、China Unicom、Telefonica、Telenor Connexionなどが名を連ねる。
低価格に懸念示すユーザーも
25米ドルのスマートフォンの普及は、新興市場にも大きな影響を及ぼすだろう。数年前、「One Laptop per Child(全ての子どもたちにノートPCを)」という運動が盛んになった(関連記事:タブレットで途上国の児童に教育機会を、OLPCらが100ドル機を発表)。これは発展途上国におけるPCの所持率を上げようという狙いの下、展開されたものだ。25米ドルのスマートフォンは、これと同様の運動をもたらすかもしれない。
もし25米ドルのFirefox OS搭載スマートフォンに問題があるとすれば、ユーザーが満足できるユーザー体験を提供できるかという点だろう。外見や機能自体は、多くのスマートフォンで変わらなくなっていて、差異化のポイントはユーザー体験にあると言っても過言ではない。やはり価格とユーザー体験のレベルというのは、おおむねマッチするものだ。
低価格帯のスマートフォン市場における競争が激しくなり始めている今、確かなことは、携帯電話機メーカーはCPUのコア数だけでは勝負できなくなっているということである。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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