フェーズドアレイアンテナやワイヤレス給電用コイルなどの設計効率を向上:マイクロウェーブ展2014
AWR Japanは、「マイクロウェーブ展2014」でRF/マイクロ波回路設計の効率を高めることができるNI AWR設計環境ツールの最新バージョンをデモ展示した。
AWR Japanは、「マイクロウェーブ展2014」(2014年12月10〜12日、パシフィコ横浜)において、RF/マイクロ波回路設計の効率を高めることができるNI AWR設計環境ツールの最新バージョンをデモ展示した。特に、RF/マイクロ波回路設計ソフトウェア「Microwave Office」を用いて設計したいくつかの事例を紹介した。
Microwave Officeは、MMIC(モノリシックマイクロ波IC)やRFIC、マイクロ波回路基板/モジュールなどのRF/マイクロ波回路設計に対応できるソフトウェアである。また、3次元有限要素法電磁界シミュレータ「Analyst」、3次元平面電磁界シミュレータ「AXIEM」、無線通信システムシミュレータ「VSS(Visual System Simulator)」などとのシームレスな統合により、効率の高い開発環境を提供する。
ブースで紹介した開発事例の1つは、RFシステムの基板設計である。基板のエッジ部分で発生する共振について、構造のパラメータを変更しながらシミュレーションを行った。必要に応じて有限要素法とモーメント法をワンクリックで切り替えることができるため、より高速に、より高精度にシミュレーションを実行することができるという。
2つ目はアンテナ設計の事例である。4×4のアンテナ素子を配列したフェーズドアレイの設計において、放射素子の振幅や位相を変更して放射パターンの最適設計を行った事例を紹介した。デジタル放送サービス(ISDB-T)に対応するアンテナ設計において、あるユーザーはAXIEMを適用することで、従来3カ月要していた開発期間を8週間に短縮できたという。こうした設計/解析は、「車載用ミリ波レーダのアンテナ設計でも活用されている」(説明員)と話す。
ワイヤレス給電用のコイル巻き数を最適化するための解析事例も紹介した。「コイルの設計は難易度が高いが、Analyst 3Dエディタを用いるとヘリカル構造の形状も比較的容易に設計/解析することができる」(説明員)と述べた。
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