「微細化は今後10年続く」――インテルの見解:IEDM 2014(2/2 ページ)
米国で開催された「IEDM(International Electron Devices Meeting)2014」。Intelの14nm FinFETプロセスやTSMCの16nm FinFETなどの開発状況をはじめ、多くの論文が発表された。IEDM 2014のリポートを数回にわたってお届けする。
“FinFETプロセス懐疑論”を拭い去る
TSMCは今回初めて、16nm+ FinFETプロセス開発の進捗状況について、限られた範囲ではあるが明らかにした。同社の顧客企業であるAvago Technologiesとルネサス エレクトロニクスの2社は、TSMCの16nm+ FinFETプロセスを適用した試作品に関する論文を初めて公開している。
Samsung Electronicsは、8本の論文を発表しているが、その中に14nmプロセス技術に関するものは1本もなかった。これは、同社の14nmプロセス技術が、論文の提出期限だった2014年6月の時点ではまだ不完全な状態だったが、もう間もなく実現可能であることを示す良い兆候だといえる。
今回のIEDMによって、FinFETに対する懐疑的な見方がだいぶ払拭(ふっしょく)されたのではないだろうか。唯一、STMicroelectronicsは、代替技術としてプレーナ型SOI(Silicon-on-Insulator)の必要性を主張している。
3次元NAND型フラッシュメモリに関する論文を発表したのは、Samsungだけだった。しかし、ほとんどの競合メーカーが、3次元NANDフラッシュに関する取り組みを進めているとみられる。今回、こうしたメーカー各社が現在の開発状況を明かさなかったのは、完了間近だからか、あるいは完了には程遠いためか、いずれかだろう。
論文はトンネルFETやIII-V族半導体に集中
IEDMに参加した専門家たちは、10nmプロセス以降の技術開発において重要な要素となる、トンネルFETやIII-V族半導体材料などを取り上げた論文がもっと多く発表されると期待していたようだ。今回、このような論文の数が少なかったのは、IntelやIBM、Samsung、TSMCなどの競合企業各社が、技術開発の最終段階に入ったため極秘を貫いたと考えられる。
IEDM 2014には、1575人のエンジニアが参加した。また、発表された論文の数は218本に上り、その内容は、DNA鎖を捕獲するためのMEMSピンセットから、超高密度カーボンナノチューブ(CNT)アレイに至るまで幅広い。
IEDM 2014では、まず最初に7nmプロセス開発における課題がいくつか取り上げられた。高移動度チャネル材料などの分野における幅広い選択肢について、詳細な議論が繰り広げられた。このためある研究者は、「何をすべきなのか、誰にも分からないような状況にある」と述べた。
イタリア国立ナノテクノロジー研究所のEnrico Prati氏は、本会議の会場で聴衆に向けて、「既存のリソグラフィと、サブナノメートルのデバイスとの間のギャップを埋める技術が必要だ」と述べている。
【翻訳:滝本麻貴、田中留美、編集:EE Times Japan】
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