ルネサスの最新半導体ソリューション(1)――マイコン事業を支える3つの製品ファミリ:福田昭のデバイス通信(3)(2/2 ページ)
ルネサス エレクトロニクスが2015年1月29日に開催した顧客向けイベント「Renesas DevCon JAPAN in Osaka」の内容を取り上げながら、同社の最新半導体ソリューションを順次、紹介していく。
最新製品情報/ロードマップ
最初のカテゴリ「最新製品情報/ロードマップ」では、マイコンの主力ファミリと最新のマイコン製品をアピールしていた。
ルネサスは現在、3つのファミリを主力製品としている。16ビットCISCマイコンの「RL78ファミリ」(ローエンド)、32ビットCISCマイコンの「RXファミリ」(ミッドレンジ)、32ビットRISCマイコンの「RZファミリ」(ハイエンド)である。この他に自動車向け専用の32ビットマイコン「RH850ファミリ」が存在するが、本稿ではふれない。
RL78ファミリ
ローエンドマイコン「RL78ファミリ」の主な製品群。ASSP(特定用途向け)、LCD(液晶ドライバ内蔵品)、汎用の3つに分けられる。
RXファミリ
ミッドレンジマイコン「RXファミリ」の主な製品群。性能・機能ともに多岐にわたる、幅広い製品群を備える。
RZファミリ
ハイエンドマイコン「RZファミリ」の主な製品群。アプリケーション処理に適したRZ/Aシリーズと、リアルタイム制御処理に適したRZ/Tシリーズがある。
小型モーター制御システムのコストを下げる
ローエンドマイコン「RL78ファミリ」の新製品として、会場では「RL78/G1Gグループ」と「RL78/I1Dグループ」を展示していた。
RL78/G1Gグループ
「RL78/G1Gグループ」はルネサスが2014年9月25日にリリースした製品である。ブラシレスDCモータのインバータ制御用マイコンで、インバータ回路の異常を素早く検知する機能を備える。高性能な扇風機、電動工具、フードプロセッサなどの小型モータ制御システムに採用すると、制御システムのコストを大幅に下げられるとする。
・右の図は、「RL78/G1Gグループ」のブロック図。CPUコアは独自アーキテクチャの16ビットCISCコア「RL78」 (クリックで拡大) 出典:ルネサス エレクトロニクス
RL78/I1Dグループ
「RL78/I1Dグループ」はルネサスが2015年1月22日にリリースした製品である。低消費電力を要求するセンサー応用機器向けのマイコンで、動作周波数が1MHzのときに、消費電流が124μAと低い。バッテリーで駆動する検知器(煙感知器やガス検知器、ガラス破壊検知器など)に適する。
・右の図は「RL78/I1Dグループ」のブロック図 (クリックで拡大) 出典:ルネサス エレクトロニクス
(次回に続く)
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