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消費電力113μWの無線機で、32QAM/25Mbpsでの信号伝送に成功無線通信技術(2/2 ページ)

東京工業大学は、新しい変調技術を開発し、低電力のRF無線給電型無線機によって、32QAM(直交位相振幅変調)、2.5Mビット/秒(Mbps)での信号伝送に成功したと発表した。無線機は、5.8GHz帯、113μWで動作する。今回の技術により、周波数利用効率に優れるQAM(直交位相振幅変調)を、低消費電力で実現することが可能になったという。

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送信機回路の仕組み

 下記は、直交バックスキャタリング技術を実現する送信機回路だ。親機が送信する搬送波を使うことで高周波の周波数シンセサイザを排除する。直交変調器(QMOD)は、RF搬送波と、中間周波数(IF)で動作するミキサ(IF Mixer)が生成する変調信号(I/Q信号)を乗算することで周波数変換し、5.8GHz帯の多値変調信号を実現する。

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送信機部分の回路図(クリックで拡大) 出典:東京工業大学
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送信機出力信号のコンスタレーションとスペクトラム。送信機は消費電力113μWで2.5Mbpsの32QAM変調を、4.6%のエラーベクトルマグニチュード(Error Vector Magnitude:EVM)で実現した。このときの周波数効率は3.3b/s/Hzである(クリックで拡大) 出典:東京工業大学

低消費電力と多値変調を両立

 今回の新技術により、無線送信機において低消費電力と多値変調を両立できることが実証された。同研究グループは、ワイヤレスセンサネットワークの大容量化・低価格化・端末小型化につながる技術だとしている。

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最新の超低電力無線送信機との性能比較。低消費電力でありながら、32QAMという周波数効率が高い変調を実現している(クリックで拡大) 出典:東京工業大学
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開発したチップを用いた無線通信モジュール(クリックで拡大) 出典:東京工業大学

IoT時代に備えて

 あらゆる機器にセンサーが搭載され、それらがネットワークにつながるモノのインターネット(IoT)の活用が本格的に始まりつつある。その際、消費電力とともに課題となってくるのが、電波資源だ。多数のセンサー端末が無線通信を行えば、トラフィックが大幅に増加し、電波の枯渇が深刻になる。そのため、いかに周波数効率の高い変調方式を実現するかが鍵になっている。

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