2018年度に向け1兆円規模の戦略投資を実行、M&Aも視野に――パナソニック:ビジネスニュース 企業動向(3/3 ページ)
パナソニックは、2018年度に売上高10兆円の達成に向けて、その道筋を明確にするとともに、通常の投資とは別にM&Aを含め4年間で1兆円規模の戦略投資を実行する考えだ。
車載では、1兆3000億円の売上高を見込む
車載事業では、2015年度に1兆3000億円の売上高を見込む。2018年度は2兆1000億円を計画しており、このうち70%はすでに受注が確定しているという。「短期的には開発投資が膨らむが、長期的には会社の業績拡大をけん引していく事業」(津賀氏)と位置付けている。
海外戦略も強化していく。特に開製販一体となった地域完結型経営で、事業拡大を加速する。その一環として、2015年4月に「APアジア」と「AP中国」をそれぞれ設立した。APアジアはマレーシア・クアラルンプールを事業拠点として、ベトナム・ハノイにも開発部隊が常駐する。AP中国は杭州を事業拠点とし、上海に営業/マーケティング部門を集約する。「これまで本気で取り組んでこなかったプレミアム家電製品をラインアップして、富裕層へ訴求していく」(津賀氏)考えだ。
B2Bソリューション事業においても、AVCネットワークス社の新社長が米国を拠点として活動することになった。北米市場における潜在需要の開拓に期待する。また、M&Aも視野に入れてグローバルな活動を展開していく狙いもある。
最後に津賀氏は、戦略的な投資についても触れた。「2018年度の売上高10兆円達成に向けて、4年間で1兆円規模の戦略投資を実行する」考えを明らかにした。2015年度は通常の設備投資として約2800億円を計画している。それとは別に戦略投資として約2000億円を追加で実行する予定だ。
戦略投資はM&AやR&D、広告宣伝などの費用に充てる。現状でM&Aの具体的な案件が決まっているわけではないが、戦略投資の対象として挙げた前出の6事業/市場を主体に、メリハリを付けた投資を行う方針である。4000億円の社債発行を終え、事業からキャッシュを生み出せる企業体質に変わってきた中で、「戦略投資は一気呵成(かせい)に行う必要がある。スピード感を持って重点事業を展開するための投資でもある」(津賀氏)と語った。
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