MSP430の系譜を継ぐ、低消費電力重視のARM Cortex-M4マイコン「MSP432」を発表:プロセッサ/マイコン(2/2 ページ)
日本テキサス・インスツルメンツ(TI)は2015年4月2日、低消費電力を特長とするマイコン製品群「MSP430」の旗艦製品群として、CPUコアにARM Cortex-M4Fを採用した「MSP432」を発表した。
性能と電力で「妥協は不要」
ARMコアには、Cortex-M4Fよりも、低消費電力重視のマイコンに広く採用されるCortex-M0+が存在するが「Cortex-M4Fの性能は、Cortex-M0+の約10倍。現状の電力消費を増やさずに、より多くのセンサーや処理能力が求められるIoT用途などを中心に、より高い性能が求められるであろう将来を見据えて、Cortex-M4Fを選んだ。Cortex-M4Fでも、MSP430などで培った技術や独自製造プロセスで消費電力を抑えたマイコンを実現した」(Adair氏)とCortex-M4Fを選択した理由を明かす。
Upton氏は、「ユーザーはこれまで、MSP430などの低消費電力マイコンか、性能重視のマイコンか、どちらかを選ぶ必要があった。だがMSP432により、どちらも妥協せずに、両立できるようになった」と、低消費電力領域と高性能領域の中間に位置する製品としてMSP432を位置付ける。
MSP430と同様の製品構成をめざす
既にサンプル出荷を開始している第1弾製品「MSP432P401RIPZ」は、フラッシュメモリ容量最大256Kバイト品で「今後、最大2Mバイト容量品まで展開する」という。また、MSP432のペリフェラルとしては、1Mサンプル/秒の14ビットA-Dコンバータなど「業界をリードするアナログ回路群を搭載していく。将来的には、MSP430からMSP432への移行をスムーズにするためにも(FRAM搭載品など500品種を数える)MSP430と同様の製品構成をMSP432でも実現する」(Adair氏)との方針を示した。
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