次世代iPhoneのカメラは一眼レフ並みになる? Appleがカメラアレイメーカーを買収:ビジネスニュース M&A
Appleが、カメラアレイを手掛けるイスラエルのLinX Computational Imagingを買収したことが分かった。LinXは、マルチアパーチャ機構を採用したカメラモジュールを開発していて、これが次期「iPhone」に搭載されれば、一眼レフ並みのダイナミックレンジや色再現性を実現できる可能性もあるという。
Appleは2015年4月15日(米国時間)、イスラエルのLinX Computational Imaging(以下、LinX)を買収したことを明らかにした。LinXは、モバイル機器向けのカメラアレイの開発を手掛ける新興企業である。買収額は、約2000万米ドル(約24億円)と推定されている。
LinXは2009年に設立された企業だ。マルチアパーチャ機構を採用する同社のカメラモジュールは、標準的なカメラモジュールに比べて高さが約半分に抑えられている。2〜4個のアレイを組み合わせた、サイズと設定が異なる複数の品種をそろえている。設定とは、オートフォーカスの有無などが含まれる。
内蔵カメラが一眼レフ並みの性能に?
LinXの技術で最も特徴的なのは、撮影後にピントを合わせられる(post-capture focusing)点だ。さらに、低照度撮影に強く、一眼レフ並みのダイナミックレンジや色再現性を実現するという。
Appleの狙いは明らかだ。次世代「iPhone」では、内蔵カメラの性能をデジタル一眼レフのレベルまで高めたいのだろう。小型のカメラモジュールなら、「MacBook」にも搭載できる。MacBookでは、ジェスチャコントロールやユーザー認証などに力を発揮するだろう。
報道によれば、Appleは今回の買収について「当社は時折、小規模の企業を買収している*)が、その目的や買収計画については特に公表しない」とコメントしているという。
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