Threadの仕様を公開、IoT規格の統合が加速へ:Qualcommを理事会メンバーに迎えたThread(3/3 ページ)
Thread Groupが、Threadの技術仕様を発表した。メンバー企業は仕様にアクセスして、Thread準拠の製品を開発できるようになる。さらに、AllSeen Allianceを主導するQualcommの子会社Qualcomm Technologiesを理事会メンバーに迎えた。IoT分野で切望されてきた“統一性”の実現が確実に近づいているようだ。
2015年後半にも市場投入か
最初のThread製品群は、2015年後半にも市場に投入される見込みだ。2015年9月、Thread Groupは製品認証プログラムを立ち上げる。同団体は、このプログラムを主導させるためThomas Sciorilli氏を雇い入れた。Sciorilli氏は、業界団体運営において幅広い経験を持ち、信頼に足る人物だ。同氏は2018年から2012年にかけて、Wi-Fi Allianceでテクニカル・オペレーション・ディレクタを務めていた。
Thread Groupによると、Sciorilli氏は評価・テストを監督し、細かい設定をしなくても、Thread製品が簡単に、かつ安全に連携することを目指す。Thread GroupはThread向けに開発された製品をテストするためのツールを、サードパーティーのテスト機関に提供している。これらのテスト機関は、評価試験と認証において責任を負う。いったん認証が済めば、その製品は「Thread」のロゴを表示できるようになる。
Version 2.0の計画は?
Version 1.0の仕様がリリースされたので、EE TimesはThread GroupのプレジデントにVersion 2.0の計画について聞くことにした。
Boross氏は「われわれは、他の規格団体の考え方とは異なる」と強調する。「われわれは、意図的に(業界団体の目的を)狭い範囲にとどめている。“Threadのネットワーキングプロトコルを、アプリケーションレイヤーに依存しないものとして維持する”という目的である。相互運用性を実現したいからだ」(同氏)。
Boross氏は「当団体が設立されたのは市場の育成とThreadの促進のためで、6カ月ごとに仕様の新しいバージョンをリリースするためではない」と説明した。
Thread Groupは2014年後半に、会員に向けてThreadの技術情報を公開した。Boross氏は「理事会は、IoT機器のメーカーおよびユーザーと活発なやり取りを続けている」と述べている。会員からのフィードバックは1.0バージョンに反映されている。
ひと言で言えば、Threadは一般家庭で使われるスマート家電向けの“安全な無線メッシュネットワーク”である。アクセス制御、温度調節、エネルギー管理、照明、安全とセキュリティといった用途に利用されることが見込まれている。
Silicon Laboratoriesは、商用のTreadプロトコルスタックと開発ツールを発表した。登録済みの開発キット「EM35x-DEV」を持っているユーザーであれば、同社のThreadソフトウェアスタックおよびサンプルアプリケーションを無償で利用できる。EM35x-DEVは、ZigBeeとThreadの両方の開発に使用できる共通プラットフォームだという。
【翻訳:青山麻由子、田中留美、編集:EE Times Japan】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- Google主導の「Thread」、対応機器は増えるのか?
Google傘下のNest Labsが取り組みを推進しているホームオートメーション向けプロトコル「Thread」。Freescale Semiconductor(フリースケール・セミコンダクタ)は、そのThreadに対応する機器を開発できるキットを提供すると発表した。ZigBee、Z-Wave、Bluetooth、Appleの「HomeKit」など、ホームオートメーションを視野に入れた規格が乱立する中、フリースケールのこの動きはThread対応機器が増えるきっかけとなるのだろうか。 - RFIDチップを糸に織り込む、洗濯機と通信できるスマート衣服の実現も?
フランスの新興企業であるPrimo1Dは、RFIDチップを搭載したマイクロエレクトロニクスパッケージを糸に織り込む技術「E-Thread」を手掛けている。E-Threadを応用すれば、洗濯機と通信して、洗濯の強度や時間などを調節する“スマート衣服”が実現するかもしれない。 - IoTの潜在市場は無限大、今後の半導体業界のけん引役に
モノのインターネット(IoT)の市場規模は、計り知れない。インターネットに接続できる機器なら、あらゆるモノが対象になるからだ。Semico Researchは、今後はIoT市場が半導体業界のけん引役になるとみている。 - EUがQualcommの調査へ、独禁法違反の疑いで
EU(欧州連合)が、Qualcommを独占禁止法違反の疑いで調査に乗り出す。モバイル機器に搭載するベースバンドチップについて不正行為がなかったかどうかが、調査の焦点となる。