三菱電機、ミリ波で航空機から地上へ大容量通信:災害発生時も被害状況などを迅速に把握できる
三菱電機とパスコは、ミリ波(40GHz帯)を使って航空機から地上に大容量のデータを送信する航空機・地上間通信システムの実証実験に成功した。災害発生時などに被害状況を迅速に把握することが可能となる。
三菱電機とパスコは2015年7月、ミリ波(40GHz帯)を使って航空機から地上に大容量のデータを送信する航空機・地上間通信システムの実証実験に成功したことを発表した。このシステムが実用化されると、災害発生時などに被害状況を迅速に把握することができ、早期に適切な救援活動を行うことが可能となる。
今回の実験では、航空機にミリ波データリンク装置を搭載し、600mと3000mの2つの高度を、時速200kmで飛行する航空機から、地上局に対して最大100Mビット/秒で伝送を行い、大容量通信の実用性を確認した。同時に想定される被災地撮影画像や小型ビデオカメラで撮影した映像を送信して地上で確認した。また、航空機と地上局では、機械的に可動する部分がない2次元APAA(Active Phased Array Antenna)を用いて、可搬性や設置性なども検証した。
実証実験では、地上局装置に取り付けられたAPAAが、上空のミリ波電波をサーチし、通信エリア内にミリ波を送信している航空機が進入してくると、すぐに捕捉して自動追尾するシステムを導入し検証を行った。通信エリアは航空機の高度が600m時で半径600m、高度3000m時には半径3000mの範囲となる。
実験では、航空機が高度600mを高速通過(4.2°/秒)し、通信エリア範囲に進入すると即時に捕捉して自動追尾し、安定的に通信できることを確認した。この場合に、理論上の通信データ容量は240Mバイトとなる。高度3000mでは1200Mバイトになるという。
今回の実験は大阪府八尾市にある八尾空港の周辺上空および航空駐車場付近で行われた。従来は航空機を用いた緊急撮影時なども、いったん安全な空港に着陸して映像データをコピーするなどの作業を必要としていた。今回のシステムが実用化されると、航空機等で撮影した大容量の映像もリアルタイムで地上に送信することが可能となる。
三菱電機とパスコは、今回の成果を踏まえ、伝送速度の高速化や装置の小型化、気象条件や法環境への適合などに向けた検討を行う予定だ。
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