ナノインプリント開発の進展状況をキヤノンが講演(1)〜低い装置コストが最大の武器:SEMICON West 2015リポート(8)(2/2 ページ)
今回から、ナノインプリント・リソグラフィ技術の解説に入る。この技術の最大の強みは装置コストが非常に低いことだ。一方で、欠陥をどう低減するかという難しい課題を抱えている。
ナノインプリント・リソグラフィの課題
ただしナノインプリント・リソグラフィ技術はこれまで、半導体の本格的な量産に使われた実績がない。以下に説明するような課題があるためだ。
ナノインプリント技術における最も難しい課題は、欠陥の低減である。欠陥が発生する箇所はいくつかある。最初は、テンプレートで発生する。テンプレートは、形成する回路パターンと同じ細さで凹凸を形成しなければならない。ナノメートル・オーダーのテンプレートを製作することは、技術的には極めて難しい。それから、テンプレートのパターンをレジストに転写するときにも、欠陥が発生する。テンプレートの凹み部分にレジストが完全には充てんされずに空隙が残ったり、テンプレートを剥がすときにレジストの一部が剥がれたりする。
このほか、重ね合わせ誤差を低くすることが難しい、生産性(スループット)が低い、ウエハー表面に微小なゴミが残る、といった課題がある。したがってResnick氏の講演は、技術改良によってこれらの課題をどこまで解決できているか、に主眼を置いたものとなっていた。
2xnm世代のリソグラフィに使えるテンプレートを開発
Resnick氏の講演では始めに、テンプレート開発の現状を報告した。テンプレートの開発では、大日本印刷が協力している。厳密には、大日本印刷がインプリント用テンプレートを開発・製造してキヤノンに協力している関係にある。
テンプレートには「マスター」と「レプリカ」の2種類が存在する。マスターは元型に相当する。マスターを「型」に使ってパターンを転写したテンプレートがレプリカである。このレプリカを、半導体プロセス(リソグラフィ工程)で使用する。
レプリカを使用するのは、半導体プロセスの繰り返しによってテンプレートが劣化するからだ。つまり、テンプレートには寿命がある。レプリカを定期的に交換することで、半導体デバイスの生産を継続する。
講演では、2xnm世代のリソグラフィを想定したテンプレートの開発目標と2015年の現況をスライドで示していた。開発目標は現在、ほぼ達成しつつある。
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