最小限の開発費で利益を増やす――Maxim:製造施設は縮小、Appleにも売却(3/3 ページ)
Maxim IntegratedのパワーマネジメントIC事業が好調だ。同社は、研究開発費を最小限に抑え、製造拠点も縮小を図ることで、利益率を向上したいとしている。製造工場の1つは、2015年、Appleに売却されたことで話題となった。
顧客を“多様化”
Maxim Integratedにとって、Samsung Electronics(Doluca氏は単に「われわれの最大顧客」としか述べなかった)とのビジネスは、ここ数年間でだいぶ増加したようだ。Maxim Integratedによると、同社が最も重視しているのは“(顧客の)多様化”だという。このことは、同社が数少ない大口顧客への依存を減らそうと試みる方針であることを示唆している。
Maximは現在、研究開発費はできるだけ抑えつつ、業界をリードできるような製品を開発することに取り組んでいるという。Doluca氏によれば、それには設計プロセスの効率化が目下の課題になるとしている。また、“コアテクノロジー”の製品を拡張するとも言及した。これは恐らく、レガシー製品を改良して新たに市場に投入することを示唆しているのだろう。Maximに8億米ドルの利益をもたらしているコアテクノロジー製品は、より低い開発費と長い製品寿命によって、マージンの管理において重要な役割を果たす可能性がある。粗利益の目標は70%だとしている。
製造工場をAppleへ売却
Maximは、費用効率プログラムの一環として、十分に活用されていない製造施設を売却する計画だ。2015年秋には、米国カリフォルニア州サンノゼにある製造施設をAppleに売却した*)。Doluca氏は、Appleが同工場で何に使用するのかについて臆測を述べることを拒んだが、面積が7万5000平方フィート(約6500m2)に及ぶ工場内には、半導体製造施設は置かれていないと述べた。
*)関連記事:Apple、Maximの半導体工場を22億円で購入
製造については、Maximは300mmウエハーへの移行を進める方針だ。アナログICの製造装置では、300mmウエハーを使用するものは、そのほとんどが中古品だという。こうした中古品を使うことは、利益率の維持や向上に貢献するとした。
また、新世代のパワーマネジメントICでは、90nmのCMOSプロセスを使用するとも説明した。これは、世界でもかなり早い方になるだろう。アナログICは、デジタルICとは異なり、微細化による恩恵を受けにくい。カスタムのパワーマネジメントICは、0.18μm/0.13μmのプロセスが使われていることが多い。
【翻訳:青山麻由子、田中留美、編集:EE Times Japan】
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ルネサス、2020年に車載半導体シェア首位奪回へ
ルネサス エレクトロニクスの自動車向け事業を統括する執行役員常務の大村隆司氏は、2016年1月13〜15日に開催されている「国際カーエレクトロニクス技術展」でインタビューに応じ、2020年に世界車載半導体シェアでNXP Semiconductorsを抜き、首位に躍り出る見込みであると明かした。 - 独学で回路技術を習得し、“アナログの巨頭”に
Linear Technology(リニアテクノロジー)でCTO(最高技術責任者)を務めるRobert C. Dobkin氏。同社において極めて優秀なアナログIC設計エンジニアを指す“アナログ・グル”でもある同氏に、アナログIC業界の動向や、自身のキャリアなどについて語ってもらった。 - プレーナ型NANDフラッシュの微細化の限界
最近になって、1Xnm世代のプロセスを適用したプレーナ(平面)型のNAND型フラッシュメモリが市場に投入され始めた。だが、プレーナ型NANDフラッシュの微細化は限界だといわれている。各社の1Xnm世代NANDフラッシュを見ながら、微細化技術について考察してみたい。 - ADIとMaximが合併交渉か ――米メディアが報道
米Analog Devices(アナログ・デバイセズ/以下、ADI)と米Maxim Integrated(マキシム/以下、Maxim)が合併に向けた交渉を行っていると、米Bloombergが2015年10月15日(米国時間)に伝えた。