幅広い製品群と新工場建設で、LED事業を拡大:オスラム、用途別の展開を強化(2/2 ページ)
オスラム オプトセミコンダクターズは照明用LED事業を一段と強化していく。LEDチップの新工場をマレーシアに建設するなど、製造能力の強化にも乗り出す。
6インチウエハー採用と発光効率改善で価格競争力を向上
価格優位性は2つの点で実現していく。1つは6インチウエハーを用いた新工場の稼働である。4インチウエハーを用いて製造する場合に比べて、ウエハー1枚あたりの収量が増加し、量産効果が得られるという。
もう1つはLED製品の発光効率である。チップを製造するプロセス技術や、光を効率よく取り出すための設計技術、封止材料や蛍光体材料の技術、さらには放熱設計技術などが、発光効率に大きく影響するという。これらの技術を全て持ち合わせているのが同社の強みである。「LED製品の発光効率を20%改善すると、LED製品のコストは半分に抑えることができる」(瀧氏)という。
同社のLED製品は、指向角や温度特性にも特長がある。LED製品の指向角は120°が一般的だが、同社は指向角が80°と150°の製品を用意している。一般的なLED製品では狭角にするためレンズを用いるが、そこでロスが生じることになる。一方、混色にする場合は指向角の広い方が、演色性に優れた光を出力できるという。
複数色のLED製品を同時に点灯させる場合、各LED製品の温度特性も重要となる。LED製品は使用する材料によって発光色や光出力の温度特性が異なる。このため、青色、赤色、緑色のLED製品を同時に点灯しても、LED自体の温度が上昇してくると、発光色によって出力低下の度合いが異なる。このため、一定期間経過すると明るさにばらつきが生じるという。これらの課題に対して同社は、青色LED製品をベースに蛍光体を組み合わせて赤色LED製品などを作製するため、「素子の温度変化に対して色の変化度合いが極めて小さく、光出力は安定している」(瀧氏)という。
これ以外にも、演色性を高めた製品や、緑色と黄色を抑えた「ブリリアントホワイト」製品、色のコントラストなどがHIDランプとほぼ同等の「ブリリアントカラー」製品などを用意している。さらに、植物育成に適した波長をもつLED製品などもある。屋外用途の高出力LED製品では、基板材料を見直すことで低価格化を図った製品も今後、ラインアップしていく予定である。
LEDセミナーでは、照明用LEDの他、「イルミネーション用レーザー&照度センサー」「バックライト用LED新技術“Quantum Colors”」「ステージ照明用LED」「車載照明」についても、同社の戦略や製品展開などについて紹介した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 照明向けLED製品、高演色性と広指向角を実現
オスラム オプトセミコンダクターズは、「第8回ライト テック EXPO」で、照明システム向けを中心に、高い演色性や広い指向角を実現したLED製品をデモ展示した。 - 低消費電力と精度の向上を実現した光学式センサー
オスラム オプトセミコンダクターズは2015年8月、脈拍数と血中酸素濃度を測定する光学式センサーの製品ラインアップを拡充したと発表した。健康レベルをモニタリングするスマートウォッチやフィットネス用のアームバンドなどのウェアラブル機器に適しているという。 - 可視光全域の波長をカバー、世界初の標準LED
産業技術総合研究所の中澤由莉研究員らは、日亜化学工業と共同で、可視光全域で十分な光強度を持つ標準LEDを開発した。 - 太陽光の再現で外的ストレスを減少するLED照明
キャプテンインダストリーズは、2016年1月13〜15日に東京ビッグサイトで開催された「ライティングジャパン」に、ドイツのWaldmann(バルトマン)のLEDフロアスタンドライト「LAVIGO(ラヴィゴ)」を展示した。蛍光灯と比較して、大幅にストレスを減少するという。