ルネサス、ヘルスケア領域へ本格参入:2020年売上高150億円を目指す(3/3 ページ)
ルネサス エレクトロニクスは2020年にヘルスケア/医療機器市場で売上高150億円を達成すべく、2016年4月に専門部署を立ち上げ、同市場に対し高付加価値のシステム提案を強化する方針だ。
防水補聴器/健康管理ソリューション
見守りソリューション以外にも、ホーム&ヘルスケアのコンセプトを用いて、ストレスフリーの健康管理ソリューションや独自ワイヤレス給電を使った完全防水型補聴器ソリューションなどを構築し、MEDTECでそれらを公開する。
健康管理ソリューションでキーになるのは、マイコンと独自アルゴリズムを使ったセンシング情報の処理技術とともに、ユーザーインタフェース(UI)技術だ。健康管理のために特別なボタンなどUIを設けるのではなく、洗面台や鏡などに静電容量式タッチセンサーを設けることでより自然なUIを実現するシステムを提案。ルネサスでは、高感度を実現する静電容量タッチキーIPを既に提供しており、同IPにより鏡や天板など分厚いカバーで静電容量ボタンを覆っても、近接した指を検知できるUIが実現できる利点をソリューションに応用した。これにより、洗面台で洗顔する際に、自動的に健康状態をセンシングし、健康状態をチェックしたければ、鏡に手をかざすことで表れるUIを操作して確認するといったシステムが実現できる。
すぐに実用化できる技術ばかり
「今回の紹介するソリューションは全て、既に提供済みの半導体製品で実現しており、すぐに実用化できるものばかりだ」とし、現在のヘルスケア機器開発の課題を解決する“ソリューション”と位置付け提案を図る。
ルネサスでは、ソリューションをレファレンスとして提供するとともに、ソリューション開発で構築したソフトウェア/アルゴリズムをマイコンなど半導体製品の価値を高めるIPとして顧客に提供し、半導体製品の販売増へとつなげる方針。「これまでは、汎用マイコンビジネスの一貫として、結果的にヘルスケア/医療用途で年間60億円程度のビジネスを獲得してきた。今後は、ソフトウェアアルゴリズム、さらにはソリューションの開発通じて、ヘルスケア/医療用途に向けた付加価値を生み出し、ビジネス規模の拡大を加速させる。2020年には現状の2.5倍となる年間150億円規模のビジネスへと引き上げたい」(伊藤氏)としている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ルネサス川尻工場、21日に生産再開日程決定へ
ルネサス エレクトロニクスは2016年4月19日、14日以降発生している熊本地方での地震により生産を停止している熊本・川尻工場の最新状況を公表した。 - 「医療」の進化はエレクトロニクスが引っ張る! MEMSセンサー/USB 3.0などを提案
「MEDTEC Japan 2013」では、医療を進化させる多様なエレクトロニクス技術の提案が行われた。特にセンシング技術や画像処理関連技術などに注目が集まった。 - ベッドに取り付けるだけで脈拍数を計測、介護や見守りの負担軽減へ
村田製作所は、「MEDTEC Japan 2015」で、ベッドに取り付けるだけで脈拍数や呼吸数を検知できるセンサーを展示した。人間は、心臓が鼓動を打つ時に身体がわずかに振動する。同センサーは、ベッドを通して伝わってくる、そのわずかな動きを感知することができるという。 - 【ESEC2013】ルネサス再建の先駆事例へ、スマートバイオ向けプラットフォームをデモ
ルネサス エレクトロニクスは、単純な半導体デバイス販売ビジネスだけでなく、「すぐに半導体製品が使える」ように、ソフトウェア技術やモジュール化技術などを含めたソリューション型ビジネスモデルを強化している。その一環として、「スマートバイオ」に向けたソリューション構築を進め、「第16回 組込みシステム開発技術展(ESEC2013)」(2013年5月8〜10日、東京ビッグサイト)で畜産用途向け生体モニタリングシステムの展示を行った。