ソニーは2016年4月28日、4月14日夜以降の地震の影響で稼働を停止している半導体製造拠点・ソニーセミコンダクタマニュファクチャリング熊本テクノロジーセンター(以下、熊本テクノロジーセンター)の状況について説明を行った。
熊本テクノロジーセンターは、デジタルカメラや監視カメラ向けイメージセンサーとディスプレイデバイスの製造拠点で、16日未明に発生した熊本地震本震の震源地から約12kmの距離に位置する熊本県菊池郡菊陽町にある。製造拠点建屋は、2層構造のクリーンルームを持ち、低層にウエハー加工などより前工程製造ラインを配置し、高層に測定や組み立てといった後工程製造ラインと、カメラモジュールの製造ラインを配置している。
後工程ラインのクリーンルームに損傷発生
16日の本震影響を受け、高層のクリーンルーム、製造装置に損傷が発生し、現在もフロアごと装置ごとに詳細な検証を実施しているという。
一方で低層のクリーンルームについては、大きな損傷がないことを確認し、生産再開のための準備を開始。2016年5月末をメドに稼働を再開するという。
なお、熊本テクノロジーセンターでの在庫については、イメージセンサーなどの完成品での損傷は限定的とし、既に出荷を再開している。ただし、半製品、仕掛かり品への影響については、現在確認中としている。
影響額は精査中
こうした熊本テクノロジーセンターの被災に伴う業績への影響は精査中とし、直接的な物的損害や復旧費用、補強工事費用が生じる見込み。加えて生産停止が一定期間継続することにより、主にデバイス事業分野、イメージング・プロダクツ&ソリューション事業分野において、「多額の機会損失が生じる可能性がある」(ソニー)としている。
なお、ソニーでは地震保険に加入しており、今回の被災で約200億円程度の補償を得る見通しとするが、「全ての損害を保険でカバーするには及ばないかもしれない」(ソニー)としている。
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