ニュース
産総研、ナノ炭素材料の新しい合成法を開発:キャパシターの電極材料、高効率で量産可能に(2/2 ページ)
産業技術総合研究所の徐強上級主任研究員らは、棒状やリボン状に形状制御されたナノ炭素材料の新しい合成法を開発した。キャパシターの電極材料への応用などが期待されるナノ炭素材料を、高い収率で量産することが可能となる。
研究チームは、合成工程を透過型電子顕微鏡や原子間力顕微鏡などで観察した。この画像データにより棒状のカーボンナノロッドや、2〜6層のグラフェンからなるグラフェンナノリボンが高い収率で形成されていることを確認することができた。
効率が高いエネルギー貯蓄材料の可能性
さらに、新たな合成方法で作製したカーボンナノロッド及びグラフェンナノリボンと、一般的に用いられているミクロポーラスカーボンを電極材料としたキャパシターの定電流充放電特性を測定した。その結果から、新開発のカーボンナノロッドとグラフェンナノリボンが、ミクロポーラスカーボンよりも優れた放電特性を有することが分かった。このことは、効率が高いエネルギー貯蓄材料として活用できる可能性を示したことになる。
研究チームは今回の研究成果を用いて、形状制御された配位高分子を原料としたさまざまなナノ炭素材料の開発を進めていく予定である。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 線幅0.8μmを実現する新原理の印刷技術を開発
産業技術総合研究所(産総研)の山田寿一主任研究員らは、東京大学や山形大学、田中貴金属工業と共同で、線幅0.8μmの微細な電子回路を簡便に印刷できる技術を開発した。フレキシブルなタッチパネルセンサーなどへの応用を進めている。 - NECと産総研、AI開発加速させる連携研究室設立
NECと産業技術総合研究所は、2016年6月1日から人工知能(AI)を活用した「未知の状況下での意思決定」を可能にする技術の開発を行う連携研究室を設立すると発表した。 - 電気を通すラップの開発に成功
産業技術総合研究所(産総研)は2016年1月、電気を通す透明ラップフィルムを開発したと発表した。生鮮食品用の包装フィルムの他、曲面状のものにセンサーを実装できるという。 - 人に“触れない”近接センサーが見守りを支える
産業技術総合研究所は、島根県産業技術センターと共同で、非接触式の静電容量型フィルム上センサーを開発したと発表した。床やベッドの裏側などの人の目に触れないところに設置し、使用者に精神的/肉体的な負担をかけることなく、動きや呼吸を検出できるという。