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白黒画像に色の見えを作り出す技術を開発:方位と色の連合、低次視覚野で生じることを発見(2/2 ページ)
国際電気通信基礎技術研究所(ATR)らの研究チームは、方位(傾き)と色の連合学習が、視覚処理の入り口にあたる低次視覚野において生じることを突き止めた。
精神疾患の治療への応用が進められる
今回は、低次視覚野以外の領域が関与していないかどうかの定量化も行った。例えば色覚に関与する第四次視覚野(V4)などの色の表現も変化した可能性が十分考えられるからだ。この実験から、低次視覚野(V1/V2)以外の視覚領域も、色に関する情報を処理しているものの、ニューロフィードバック時にはほとんど変化していないことが分かった。このことは、方位と色の連合学習が低次視覚野で生じていることが証明されたことになるという。
研究成果は現在、強迫性障害や心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの精神疾患の治療への応用が進められている。将来は、脳梗塞等による大脳損傷によって生じる色覚障害(大脳性色覚障害)の治療法につながることが期待されるという。
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