ニュース
有機EL守る材料、ガスバリア性が従来の10倍強:フレキシブルディスプレイの品質向上へ
東ソーは2016年7月、フレキシブルディスプレイの品質向上に必要な高性能ガスバリア材料「TG−4E」を発表した。従来材と同一膜厚条件で、10倍以上のガスバリア性を実現したという。
透明度が高く、画質向上にも貢献
東ソーは2016年7月、フレキシブルディスプレイの品質向上に必要なガスバリア材料「TG−4E」を開発したと発表した。有機ELを用いたフレキシブルディスプレイには、樹脂フィルム基板上に有機ELを保護するガスバリア膜を作製することが検討されている。
従来材を用いた膜はガスバリア性が低く、水や酸素の投下によって有機ELのドット抜けなどが発生するため、フレキシブルディスプレイに適用できない問題があった。同社は今回、TG−4Eを用いたPECVD法(プラズマ励起化学気相成長法)でガスバリア膜を作製すると、高いガスバリア性を発揮することを確認したという。
TG−4Eの性能は、従来材のヘキサメチルジシロキサンと同一膜厚条件で、10倍以上のガスバリア性を実現。従来材によるガスバリア膜のように淡黄色とならず、透明度が高い膜が作製でき、画質向上にも貢献する。また、伸縮性が高いため、耐クラック性、耐屈曲性に優れ、加温による樹脂フィルムの伸張にも対応可能としている。
同社は今後、国内外のデバイスメーカーと、TG−4Eの性能評価を進めていくとした。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
NEC、新ナノ炭素材料を発見 「IoTの勝ち筋に」
NECは2016年6月30日、ナノ炭素材料の1つとして、カーボンナノホーンの繊維状集合体「カーボンナノブラシ」を新たに発見し、その作製に「世界で初めて」成功したと発表した。従来の球状カーボンナノホーン集合体より10倍以上の高い導電性を持ち、これまで困難だった産業応用において、重要な特性を兼ね備えた新ナノ材料という。2017年度中にサンプル品を提供予定だ。ダイヤモンド半導体、実用間近か
ダイヤモンドが近い将来、半導体業界にとって“親友”のような存在になるかもしれない。米国の新興企業であるAkhan Semiconductorが、ダイヤモンド半導体を確実に実現できる見込みであることを明らかにした。希少元素を使わない赤く光る窒化物半導体を発見
東京工業大学と京都大学の共同研究チームは2016年6月、希少元素を使わずに、赤色発光デバイスや太陽電池に応用できる新たな窒化物半導体を発見、合成したと発表した。樹脂に部品埋め込み→印刷で完成する電子回路
オムロンは2016年6月2日、樹脂に電子部品や半導体デバイスを埋め込み固定し、その上からインクジェット印刷でパターンを印刷し、電子回路を形成する技術を発表した。無電解銅メッキで「L/S=2/2μm」が可能に
奥野製薬工業は、「JPCA Show 2016」において、2/2μmのL/S(ラインアンドスペース)で微細な回路形成を可能とする技術「トップUFP(ウルトラファインパターン)プロセス」をパネルで紹介した。キャパシターを忍ばせるパッケージ基板内蔵技術
富士通インターコネクトテクノロジーズは、「JPCA Show 2016」(2016年6月1〜3日/東京ビッグサイト)で、同年5月23日に発表した薄膜キャパシター内蔵技術を展示した。