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ローム、AEC-Q101に準拠した「業界最小」MOSFET:車載用途に最適
ロームは2016年9月、電装化が進む車載アプリケーションに向けて、AEC-Q101に準拠した「業界最小」クラスとなる3.3×3.3mmサイズのMOSFET「AG009DGQ3」を開発したと発表した。
実装面積を最大64%削減
ロームは2016年9月、電装化が進む車載アプリケーションに向け、AEC-Q101に準拠した小型のMOSFET「AG009DGQ3」を開発したと発表した。
同製品は、同社独自の端子構造を採用し、ゲート端子面積を2倍の太さにし、接合強度の強化に成功。ゲート端子の中央部にメッキ処理も行い。ハンダ付けのぬれ性バラツキを解消したことで、ゲート端子と実装基板間に発生するハンダクラックの懸念を半分以下に軽減した。ロームは、「車載品質を確保した実装信頼性の高い製品」と語る。
また、同社のチップ技術とパッケージング技術により、車載電装用の小型ハイパワーパッケージ「HSMT8AG」を実現。これまでの車載電装用MOSFETは5×6mmのSOP8サイズが限界といわれていたが、エンジンECU(Electronic Control Unit)で「業界最小クラス」となる3.3×3.3mmまで小型化した。これにより、車載品質を維持しながら、実装面積を64%削減できるため、アプリケーションの高機能化に貢献するという。
同製品のドレインソース間電圧は40V、ドレイン電流は±30A、許容損失は75Wとなっている。保存温度は−55〜175℃。同社は、2016年7月から1個当たり500円(税別)でサンプル出荷を開始しており、2016年9月から月産400万個で量産を開始している。
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