ルネサス、産機向けに動作検証済みLinuxを提供:機器開発時間/費用を40%削減(2/2 ページ)
ルネサス エレクトロニクスは2016年10月24日、産業機器向けの高性能組み込みプロセッサとともに動作検証済みのLinuxとミドルウェア群および開発環境などを提供する「RZ/G Linuxプラットフォーム」を開発したと発表した。同日から国内のユーザーを対象に、同プラットフォームの提供を開始した。
ミドルの追加、ボード設計も容易に
RZ/G Linuxプラットフォームでは、Linux標準パッケージ以外の機能拡張も容易にするため、サードパーティーと連携した動作検証済みミドルウェアも提供される。現状、NECが顔検出/照合エンジンを、NECソリューションイノベータが性別・年齢自動推定システムを、図研エルミックがネットワークカメラモニタリング用ONVIFプロトコルなどをRZ/G Linuxプラットフォーム対応の動作検証済みミドルウェアとして提供。「2017年春には、海外を含め20社以上のベンダーから、RZ/G Linuxプラットフォーム対応の動作検証済みミドルウェアが提供される見込み」としている。
さらに複数のボードベンダーから、量産にも対応するRZ/G Linuxプラットフォーム対応ボードも発売され、「量産立ち上げにかかる時間も短縮できる。RZ/G Linuxプラットフォームを使用することにより、機器開発の時間、コストを40%程度低減できる」としている。
クアッドコア構成のハイエンド品も投入
RZ/Gシリーズはこれまで、「RZ/G1E」(動作周波数1GHz、ARM Cortex-A7×2コア)、「RZ/G1N」(同1.5GHz、同A15×2コア)、「RZ/G1M」(同1.5GHz、同A15×2コア)の3製品を提供してきたが、RZ/G Linuxプラットフォームの提供に合せて、同RZ/G Linuxプラットフォーム対応するセキュリティ強化版「RZ/G1E-PF」「RZ/G1N-PF」「RZ/G1M-PF」「RZ/G1H-PF」の提供を新たに開始。RZ/G1E-PF、RZ/G1N-PF、RZ/G1M-PFは、これまでのRZ/G1E、RZ/G1N、RZ/G1MをベースにRZ/G Linuxプラットフォームに対応するためのセキュリティ用アクセラレータを搭載した製品。RZ/G1H-PFは、RZ/Gシリーズの最上位性能品種で1.4GHz動作の同A15を4コア、780MHz動作の同A7を4コア搭載する。なお、RZ/G1H-PFと同じコア構成でRZ/G Linuxプラットフォーム非対応版の「RZ/G1H」も同時に製品化している。
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