モーターの総合効率を向上、電流センスアンプ:モーターのインライン電流計測
日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は、「エンハンスドPWM(パルス幅変調)リジェクション機能」を内蔵した電流センスアンプ製品「INA240」を発表した。電流を高精度に計測でき、モーターやソレノイドの制御において、高い効率と精度を実現することが可能となる。
エンハンスドPWMリジェクション機能を搭載
日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は2016年11月9日、「エンハンスドPWM(パルス幅変調)リジェクション」機能を内蔵した電流センスアンプ製品「INA240」を発表した。高精度の電流計測を可能とし、モーターやソレノイドの制御において、高い効率と精度を実現することができる。まず、産業機器や民生機器向け製品を発売するが、2017年第1四半期には車載グレード(AEC-Q100規格対応)製品も用意するという。
INA240は、高速のセンスアンプに、エンハンスドPWMリジェクションの回路ブロックを集積した。この回路では、リンキングを抑制しグリッチレベルを小さくするための処理を行う。これによって、モーターを制御するアルゴリズムのブランキングタイムを短縮することが可能となり、高効率でより正確なモーター制御を行うことができるという。
PWM周波数は100kHzを超え、スイッチングエッジレートは最大10V/ナノ秒で動作する。同相電圧範囲は−4〜80Vと広い。さらに、業界最高レベルの安定性や性能を実現した。例えば、標準値でオフセット電圧は5μVと低く、オフセットドリフトは50nV/℃である。ゲイン誤差は0.05%、ドリフト性能は0.5ppm/℃となっている。利用環境の温度変化に対しても、安定した計測精度を提供する。製品自体の温度ドリフトが小さく、産業機器や車載システムなどの用途でも、高い測定精度を実現することができる。
INA240は、CMRR(同相モード除去比)性能にも優れている。−40〜125℃の動作温度範囲で最低120dBのCMRRを保証している。実力値は135dBで、1V当たり入力オフセット電圧の増加分は0.2μV未満である。これに対して、CMRR仕様が80dBの従来製品だと、60Vの同相モード電圧が印加された場合、48Vの変化がベースラインから発生し、4.8mVのオフセット電圧が発生するという。
モーターシステムなどで万が一、絶縁不良などの不具合が発生した場合でも、過電流を迅速に検出して対応することにより、モーターを保護することができる。INA240は、100kHzと2V/マイクロ秒の信号帯域幅によって、入力電流信号を高精度に計測し、数マイクロ秒以内にエラー信号を出力することが可能だという。
INA240は、外形寸法が3×4.4mmの8端子TSSOPパッケージで供給する。1000個購入時の参考単価は0.99米ドルである。ゲインは固定で、20V/Vの「INA240A1」、50V/Vの「INA240」、100V/Vの「INA240」、そして200V/Vの「INA240」と4種類が利用できる。
この他、日本TIではINA240を活用するためのレファレンスデザインや評価モジュール(EVM)」といった開発ツール群を用意している。EVMの参考価格は25米ドルで、INA240と同じくTIのオンラインストア「TI store」や販売特約店から購入することができる。
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