IoT端末に最適? Apple Watch Series 2の心臓部「S2」に迫る:この10年で起こったこと、次の10年で起こること(10)(3/3 ページ)
2016年9月に発売されたAppleの腕時計型ウェアラブル端末「Apple Watch Series 2」を取り上げる。中身の大転換が図られたiPhone 7同様、配線経路の大幅な見直しが行われた他、心臓部の「S2」でも新たな工夫が見受けられた。
「S2」を開封
筆者が代表を務めるテカナリエではSIP S2の全チップの開封を行った。図4にその一部情報を掲載する*)。
実際にはフリップ実装と呼ばれる基板面にチップ面を向き合わせての実装が行われているのだが、チップ状態を明確にさせるために、開封したチップを元のあった場所に並べている。最先端プロセスを用いたプロセッサ、巨大なストレージメモリ、Wi-Fi&Bluetoothチップ、システム制御のコントローラー、電源制御チップなど、SIP S2には実際には24個ものチップが搭載されている。ふた昔(=この業界では4年前を指す)のスマートフォンやタブレット端末にも匹敵する機能がわずか500円硬貨サイズのSIP S2に搭載されている!! S2のサイズは最大部で25×27mm、重さはわずか2gだ。しかも! S2内部には圧力センサーまで搭載されているのだ。
IoTエッジ端末に「S2」を用いたらどうだろう。通信機能あり、コンピューティング性能あり、センサーハブ機能あり……。しかも2g。Apple Watch Series 2は新たな工夫が成された製品であった。
*)テカナリエでは、100ページ超える詳細な「Apple Watchの解析レポート」を用意しております。
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筆者Profile
清水洋治(しみず ひろはる)/技術コンサルタント
ルネサス エレクトロニクスや米国のスタートアップなど半導体メーカーにて2015年まで30年間にわたって半導体開発やマーケット活動に従事した。さまざまな応用の中で求められる半導体について、豊富な知見と経験を持っている。現在は、半導体、基板および、それらを搭載する電気製品、工業製品、装置類などの調査・解析、修復・再生などを手掛けるテカナリエの代表取締役兼上席アナリスト。テカナリエは設計コンサルタントや人材育成なども行っている。
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