Sigfox日本仕様の認証取得 ―― TIの開発キット:各種センサーと通信規格に対応(2/2 ページ)
日本テキサス・インスツルメンツ(日本TI)は、さまざまなセンサー技術や制御技術、通信技術を核にIoT(モノのインターネット)事業を展開していく。新たに発表したSub-1GHzワイヤレスマイコン開発キット「CC1310LaunchPad」は、業界で初めてIoTネットワーク「Sigfox」日本仕様(RCZ 3)の認証を取得した製品となる。
450種類以上のセンサー製品
先進的なセンサー技術/製品も同社の強みだ。温度センサーICをはじめ、ガス/化学センサーアナログフロントエンドICや誘導型近接センサーIC、光量計測用DLPチップなど、ユニークな製品を中心に450以上の製品を用意している。これらの中には、多点の温度を計測しデイジチェーン方式で出力できる製品もある。32個の温度センサーを3m間隔で数珠つなぎにすることができるという。
また、人やモノの動きを感知する最新のセンシング技術を用いた製品も提供する。インダクティブセンシング技術などを応用したもので、金属の有無や近接検知、金属識別を行うタッチセンサーや、歯数計数などを行うスイッチセンサー、ジェスチャーや水位などを検出する近接センサーといった製品である。
この他、デジタル信号処理エンジン(LEA)機能や静電容量タッチ技術(Cap TIvate)機能を搭載したローパワーマイコン「MSP430 FRxx FRAM」も用意している。このマイコンはFRAMを搭載しているため、電源を切ってもデータを保持することができる。センサー端末などの動作が停止している時に、消費電流を節減することができ、内蔵電池で長時間動作が可能となる。IoT機器に最適なマイコンだという。
TIは、同社製品を活用する顧客が、システム設計を迅速に行えるよう「TI Designs」を提供している。開発を支援するための回路図やブロック図、部品表、設計ファイル、テストレポートなどが準備されている。産業機器、車載機器、民生機器、医療用機器などの用途に向け、そのライブラリー数は全体で約2800種類にも上る。IoT関連では、Sub 1GHz産業用IoTゲートウェイ向け、産業用イーサネットマルチプロトコル検出向け、ワイヤレス温湿度センサー向けなど、約50種類のレファレンスデザインが用意されている。センサー製品のレファレンスデザインとしては、約90種類がライブラリーに収録されているという。
クラウド事業者との連携も強化
IoTエコシステムパートナーとしては、富士通やMicrosoftなど45社と契約を結んでいる。これによって、センサーネットワークとクラウドの接続検証などの工程を省くことができ、システム開発を迅速に行うことができるという。
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