セキュアIoTの業界標準目指す、ARM Cortex-M:セキュア技術でIoT普及を促進
ARMは、チップからクラウドまでのIoTセキュリティを提供し、IoTシステム/機器の普及速度を加速させていく。
クラウド経由でIoT機器をセキュアに管理
ARMは2016年12月2日、東京都内でセキュアなIoT製品などに関する記者説明会を行った。セキュリティ機能を強化した最新のプロセッサなどを投入し、チップからクラウドまでのIoTセキュリティを提供して行く。これにより、IoTシステム/機器の普及速度を加速させていく。
ARMパートナーが2015年に出荷したチップ数は150億個に達する。センサーからサーバまで、幅広い用途に採用されているが、その多くが組み込みシステムだという。ARMのIoTビジネスユニット部長補佐兼マーケティングおよびセールス担当バイスプレジデントを務めるMichael Horne氏は、「IoT市場は期待しているほど成長していない、という意見もあるようだが、IoTテクノロジーの採用は広がっている」と話す。ARMベースのチップ出荷数がその裏付けとなっている。一例として、パーソナル機器や産業機器、社会インフラなどにおける導入事例を挙げた。
IoTの普及を一段と加速していくための課題として、同社が注視しているのがチップからクラウドに至るまで、高度なセキュリティを担保することだ。これを実現していくためにARMは、新型プロセッサやクラウドベースのサービスなどを新たに投入する。
「Cortex-M23」と「Cortex-M33」
TrustZone技術を搭載したARMv8-MアーキテクチャベースのCortex-Mプロセッサもその1つである。今回は「Cortex-M23」と「Cortex-M33」の2種類を発表した。Cortex-M33は汎用的なIoT機器をターゲットにした製品である。Cortex-M23はフットプリントが小さく電力消費の小さいIoT機器に向ける。
ARMv8-M向けTrustZone技術は、リアルタイムの確定性や低消費電力の要件に対して最適化を図った。また、セキュアストレージや鍵の管理、TRNGおよび暗号加速などの機能を持つTrustZone CryptoCell-312のサポートにより、SoCのセキュリティ機能を一層強化することが可能となった。既に、上位10社のMCUサプライヤーのうち、過半数が「Cortex-M23」または「Cortex-M33」のいずれかについて、ライセンスを取得しているという。
ARMは、IoT機器のセキュアな管理を可能とするクラウドベースのSaaS(Software as a Service)ソリューション「mbed Cloud」も新たに追加した。IoT機器側にmbed OSを組み込む。「クラウド上にあるmbed Cloudとシームレスに接続することで、IoT機器を管理してセキュリティを担保し、ファームウェアのアップデートも容易に行うことができる」(Horne氏)という。
この他、IoT接続機能を強化するARM Cordio無線接続IPも同時に発表した。Bluetooth 5およびIEEE 802.15.4ベースのZigBee/Thread規格に対応するワイヤレスソリューションを提供する。ファウンドリやRFフロントエンド、ソフトウェアスタックなどは複数のベンダーから選択することが可能である。
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