“くもり止め”でEV燃費向上を、旭化成エレが提案:国際カーエレクトロニクス技術展
旭化成エレクトロニクスは、2017年1月18〜20日に東京ビッグサイトで開催されている「第9回 国際カーエレクトロニクス技術展で、ガラスくもり止めセンサーなどを展示した。
ガラスの温度を非接触で測定
旭化成エレクトロニクスは、2017年1月18〜20日に東京ビッグサイトで開催されている「第9回 国際カーエレクトロニクス技術展」で、ガラスくもり止めセンサーを展示した。同センサーは、中赤外線波長帯域を検知する赤外線センサー「AK9750」と、ワイヤグリッド偏光フィルムで構成されている。ワイヤグリッド偏光フィルムでガラスの反射波を除去して、ガラスの温度を測定する。
自動車内の温度、湿度から露点温度も測定することで、フロントガラスの「くもり止め」と「乾燥し過ぎの防止」を両立する制御が可能になるという。しかし、露点温度を検知し、エアコンシステムを調整するだけでは、付加価値はそこまで高くない。
ブース担当者は「最大の狙いは、ガラスくもり止めセンサーでデフロスターやコンプレッサーのエネルギー消費量を減らすことにある。これにより、EV(電気自動車)/PHEV(プラグイン ハイブリッド自動車)の燃費向上に貢献できる」と語る。
今までは非接触の温度計を活用してガラスの温度を測定していたが、ガラスの反射電磁波の影響を受け、正確な値とは異なる温度を示す場合があった。同社では、赤外線センサーにワイヤグリッド偏光フィルムを組み合わせることで対処した。
製品としては既に確立されており、今後は実証実験を進める予定。「国際カーエレクトロニクス技術展は、自動車メーカーの反応を聞く重要な機会」(担当者)とした。
非接触の脈波センシングも
また、同社では新技術として非接触脈波センシングも展示している。同社独自の映像解析技術「VitalBit」を活用。市販のウェブカメラで撮影した顔画像からRGB各色の濃淡を検出し、脈波/血圧/血中酸素濃度がリアルタイムに分かる。
現在暗い場所で脈波の検出ができないため、赤外線カメラを用いた開発も進めているという。同技術の応用先は検討中だが、自動車や医療分野への展開を見据える。
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