高精度、高速応答の低電圧対応COT制御DC-DCコン:1V以下動作FPGA、マイコン向け(2/2 ページ)
トレックス・セミコンダクターは2017年2月20日、1.0V以下のコア電圧で動作する最先端FPGAやマイコンなどのデバイス向けに高速過渡応答を特長にした同期整流降圧DC-DCコンバーター「XC9273シリーズ」を製品化したと発表した。独自のDC-DCコンバーター制御技術「HiSAT-COT」の第2世代技術を搭載し、高速過渡応答と高精度電圧出力などを実現した。
応答速度は従来品比10倍に
高速応答性についても、入力電圧5.0V、出力電圧1.8Vの条件下で負荷電流を100mAから2Aに変動させた場合、リップル電圧は20mV、3マイクロ秒で1.8V出力に収束する応答特性を実現(発振周波数3.0MHz品)。電流モード/PWM制御方式の従来品と比べ、リップル電圧は8分の1程度、応答性は10倍程度とする。
高精度化、高速負荷応答特性により、負荷容量を小さくできる。発振周波数3MHz品であれば、0.22μHの小型インダクターが使え、出入力コンデンサー容量も47μFで済む。「他のCOT制御方式DC-DCコンバーターと比較して、外付け部品を削減でき、実装面積を35%程度、削減できる」(トレックス)とする。
HiSAT-COTの大きな特長である周波数安定性についても、オン時間調整を行う回路を改良するなどして改善。「PWM制御のDC-DCコンバーターと同じノイズ対策で使用できるレベルの安定性を実現している」という。
保護機能も拡充
その他、XC9273シリーズは、放電抵抗を用いた出力コンデンサーのディスチャージ機能よりも速くディスチャージが行え、後段の誤動作を防げるソフトオフ機能や、短絡保護機能モードとして、短絡状態が続いた場合に一定期間動作停止状態に入って過度な温度上昇、過負荷状態を防ぐHiccupモードを備えた。
パッケージは、4×4mmサイズのQFNを採用。発振周波数3.0MHz品と1.2MHz品がある。既に量産を開始し、サンプル価格は100円(税別)となっている。第2世代HiSAT-COT技術を用いたDC-DCコンバーター製品としては、XC9273シリーズ以外にも、最大6A出力の「XC9266シリーズ」の量産も実施している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 静止電流が260nAの電源IC、SIIが3月に量産へ
エスアイアイ・セミコンダクタ(SII)は、2017年1月18〜20日に開催している「第3回 ウェアラブルEXPO」で、開発中の同期整流型 降圧スイッチングレギュレーター「S-85S1A/85S1Pシリーズ」や、エナジーハーベスト用電源IC「S-8880A」などを展示した。 - トレックス、フェニテックを子会社化へ
トレックス・セミコンダクターは、半導体受託製造企業フェニテックセミコンダクターの株式51%を取得し子会社化する。 - トレックス、シリコンバレーにR&Dセンターを開設
トレックス・セミコンダクターは2016年4月29日(米国時間)、米国法人のTOREX USAの一部門として米国カリフォルニア州サニーベールにR&Dセンターを開設し、その開所セレモニーを同州サンタクララのホテル「Hyatt Regency Santa Clara」で開催した。 - ローム、AEC-Q101に準拠した「業界最小」MOSFET
ロームは2016年9月、電装化が進む車載アプリケーションに向けて、AEC-Q101に準拠した「業界最小」クラスとなる3.3×3.3mmサイズのMOSFET「AG009DGQ3」を開発したと発表した。 - 最大450A制御が可能なデジタルPWMコントローラ
Intersilは、10〜450Aまでの電流スケーリングを可能にする、デジタルマルチフェーズPWMコントローラ「ISL681xx」「ISL691xx」と、スマートパワーステージ「ISL99227」を発表した。 - 回路作成後でも出力電圧を変えられる電源管理IC
リニアテクノロジーは、「Embedded Technology 2016(ET2016)」「IoT Technology 2016」(2016年11月16〜18日、パシフィコ横浜)で、回路を作成した後でも出力電圧を変更できるパワーシステムコントローラーICなどを展示した。