OpenVX対応のHWアクセラレーターを搭載:車載機器や家電/産業機器向け
ソシオネクストは、OpenVX対応のハードウェアアクセラレーターを搭載したグラフィックスディスプレイコントローラ「SC1810」シリーズを開発した。
新次元の画像認識ソリューションを提供
ソシオネクストは2017年3月、OpenVX対応のハードウェアアクセラレーターを搭載したグラフィックスディスプレイコントローラ「SC1810」シリーズを開発したと発表した。車載システムや家電/産業機器などさまざまな組み込み機器向けに、より高度な画像認識ソリューションを提供する。
SC1810シリーズは、これまで多くの実績を持つ車載向けグラフィックスディスプレイコントローラをベースに、機能や性能のさらなる向上を図った。3D画像処理能力は、従来製品に比べて5倍も向上した。また、フルHDビデオ入力を6チャネル分、フルHDディスプレイ出力を3チャネル分、それぞれ搭載した。さらに、さまざまな情報を管理し、複数ディスプレイへの表示を一元的に制御する統合HMIシステム機能などもサポートしている。
こうした性能向上に加えて、新たな機能も追加した。その1つは、クロノスグループ(Khronos Group)が策定したコンピュータビジョン向けAPI「OpenVX」への対応である。SC1810に搭載した、独自開発のビジョンプロセッサユニット(VPU)には、プログラム可能な「データ並列アクセラレーター」に加え、OpenVXに対応する「ハードウェアアクセラレーター」が含まれている。これによって、コンピュータビジョン処理を高速かつ少ない消費電力で実行することが可能となった。
CPUコアは動作周波数が1066MHzの「ARM Corte A9 Quad」、3Dエンジンとして「PowerVR Series8XE」、2Dエンジンとして独自IPの「SEERIS」を搭載している。また、複数チャネルのカメラ映像を同時に処理するためのH.264コーディックも内蔵した。
ソシオネクストはこれまで、グラフィックスディスプレイコントローラをベースとしたシステムを、さまざまな用途に提供してきた。例えば、全周囲立体モニターシステム「OMNIVIEW」や、カメラ映像を分析して接近する歩行者などを運転者に知らせる「接近物検知機能」などである。
専用VPUを搭載したSC1810シリーズは、これらの機能や性能を向上させ、さらに高度な画像認識機能を実現することができるという。SC1810シリーズのサンプル品およびソフトウェア開発キットは2017年4月より供給を行う予定である。
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