STM、2種類のLPWAN評価用開発ボードを発売:IoT機器を効率よく開発
STマイクロエレクトロニクス(STM)は、LoRaWANなど省電力広域ネットワーク(LPWAN)に対応する機器の開発や評価を効率よく行うための開発ボード2種類を発表した。
小型で低消費電流のLoRaWANモジュールを搭載
STマイクロエレクトロニクス(STM)は2017年3月、LoRaWANなど省電力広域ネットワーク(LPWAN:Pow Power Wide Area Network)対応機器の開発や評価を効率よく行うための開発ボード2種類を発表した。
1つはSTM32 LoRa Discovery kit「B-L072Z-LRWAN1」である。このキットは、村田製作所製のオープンモジュールをベースとしたもので、小型で消費電流が小さいモジュールには、STM製マイコン「STM32L072CZ」とSemtech製トランシーバーIC「SX1276」が集積されている。LoRaモデムも搭載した。
システム設計者は、同キットに搭載されたマイコンおよびA-Dコンバーター、16ビットタイマー、UARTなどのペリフェラルにアクセスすることができる。STM32L0 HAL(ハードウェア抽象化レイヤー)およびLL API(ローレイヤAPI)など、組込みソフトウェアライブラリーを活用してアプリケーションを開発すれば、ボードの機能を拡張することも可能である。
B-L072Z-LRWAN1には、オンボードデバッガーやSTM32 Nucleo用morphoコネクター(64端子)、Arduino互換コネクター、電源ソケットなどが搭載されている。価格は46.50米ドルである。また、MDK-ARM統合開発環境(IDE)や初期設定ツール「STM32CubeMX」などの各種ソフトウェアツール、STM製のLoRaWANプロトコルスタック「I-CUBE-LRWAN」といった開発エコシステムを無料で利用することができる。
もう1つは、STM32 NucleoボードあるいはArduinoボードで利用する拡張ボード「I-NUCLEO-LRWAN1」である。この拡張ボードには、STM製マイコン「STM32L052T8」とSemtech製トランシーバーIC「SX1272」を実装したUSI製「LoRaWANモジュール」が搭載されている。この拡張ボードをメインボードに接続すれば、LoRa規格に対応した通信やFSK/OOK(周波数偏移変調/オンオフ変調)通信用アプリケーションの開発を、速やかに始められる。
LoRaWANモジュールには、ATコマンドスタックが組み込まれている。また、I-CUBE-LRWANスタックは、無料で利用できる。I-NUCLEO-LRWAN1には、STM製の3軸加速度センサー「LIS2DS12」や気圧センサー「LPS22HB」、温湿度センサー「HTS221」が組み込まれている。このため、IoT機器の開発、評価を比較的容易に行うことができる。I-NUCLEO-LRWAN1の価格は25米ドルである。
2種類の開発ボードはすでにLoRaWANの認証を取得済みで、販売代理店やSTMのウェブサイトから入手することができる。860〜930MHzの周波数帯域利用に関して、すでに米国やEU、ロシア、インドなどの無線通信規則に準拠。日本でも無線通信規則に対応するため準備を進めている。
同社は、長距離IoT(モノのインターネット)通信に対応するスマートメーターや警報システム、トラッキング装置、測位機器、環境センサー、アクティビティセンサーなどを設計、開発する技術者に向ける。
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