東芝、SCiBセル搭載のリチウムイオン電池:重量は鉛蓄電池の4分の1
東芝は、SCiBセルを用いたDC24V/48V仕様の産業用リチウムイオン電池「SIP」シリーズについて、2017年4月上旬より販売を始める。
長寿命で充電時間が短く、低温環境でも使える
東芝は2017年3月、SCiBセルを用いたDC24V/48V仕様の産業用リチウムイオン電池「SIP」シリーズについて、2017年4月上旬より販売を始めると発表した。従来の鉛蓄電池に比べて寿命が極めて長く、充電時間も短い。
SIPシリーズは、チタン酸リチウムの採用などにより、高い安全性を確保しつつ、長寿命、急速充電、低温環境での使用が可能など、多くの特長を持つSCiBセルを用いている。しかも、内蔵したバッテリーマネジメントユニット(BMU)の機能により、SCiBセルの電圧と温度を常に監視、制御し、異常動作などから電池を保護する。
SIPシリーズは同等容量の鉛蓄電池に比べて、重さは約4分の1と軽量だ。充電時間は鉛電池の約8〜10時間に対して、SIPシリーズは約20分と極めて短い。製品寿命も長い。鉛蓄電池だと約2年サイクルで製品交換が必要となる。ところが、SIPシリーズは約10年間使用した後でも、80%の放電容量を維持することができるという。
この他、−30℃という低温環境下でも充放電が可能、鉛電池のような均等充電や補水が不要、デジタル出力で4段階の電池残量とエラー状態の確認が可能、といった特長がある。
SIPシリーズは、24V仕様の「SIP24-23」と、48V仕様の「SIP48-23」を用意した。SIP24-23には、モジュールが1並列のタイプと、2並列のタイプがある。SIP48-23は、2個のモジュールを直列構成とした。
SIPシリーズは、鉛蓄電池に比べて電池の交換や廃棄のコストを軽減することができる。これらの特長を生かし、無人搬送車(AGV)や電動カート、建機、フォークリフトといった産業機器用途で利用されている鉛蓄電池などからの置き換えを狙う。
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