車載用パワーインダクター、最大150℃に対応:パワートレイン用ECUに適用可能
太陽誘電は、車載機器向けSMDパワーインダクター「EST1060」のサンプル出荷を始めた。車載用電子部品の信頼性試験規格「AEC-Q200」に対応している。また、製品ごとに生産プロセスの情報がQRコードで印字されている。
QRコードを印字、「生産プロセスの見える化」
太陽誘電は2017年3月、車載機器向けSMDパワーインダクター「EST1060」のサンプル出荷を始めた。車載用電子部品の信頼性試験規格「AEC-Q200」に対応している。製品には固有のQRコードが印字されており、生産工程のトレースも可能である。
EST1060は、自動車のエンジンやトランスミッションなどを電子制御するための回路基板に搭載される、DC-DCコンバーターICのチョークコイルやフィルター用途に向けた製品である。これまで同社が培ってきた材料技術や構造設計技術を用いて、使用できる温度の上限を150℃(自己発熱含む)に引き上げた。さらに、30Gの振動にも耐えうる機械強度を実現した。これによって、高温かつ振動が大きい環境で用いられるパワートレイン向けECU(電子制御ユニット)にも十分対応することができるという。
また、機能安全規格への対応が必須となる中で、最終的な製品の安全性を担保するだけでなく、製品開発や生産システムについても、規格に基づく品質管理体制の確立が要求されている。新製品は製品固有のQRコードが全製品に印字されている。これによって、全ての作業工程を、製品単位で容易にトレースすることが可能となる。
新製品は外形寸法が10.1×10.0×6.0mmである。インダクタンスなど仕様の違いによって今回は11品種を用意した。2017年8月より量産を始める。サンプル価格は80円である。
今後は外形寸法が6mm角や7mm角、12mm角の製品も開発し、シリーズ展開を図る予定だ。
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