マルチ機能の電力アナライザで次世代モーター開発に貢献 横河:テクノフロンティア 2017 開催直前情報
横河メータ&インスツルメンツは「TECHNO-FRONTIER 2017」(テクノフロンティア/会期:2017年4月19〜21日)で、「モーターの高効率、高出力、高精度制御の検証に役立つ開発および評価ツール」をテーマに、主要な製品を展示する。
TECHNO-FRONTIER 2017 開催直前情報
2017年4月19〜21日、メカトロニクス・エレクトロニクス技術の発展と普及を支援する、アジアを代表する要素技術専門展示会「TECHNO-FRONTIER 2017(テクノフロンティア)」が、千葉市・幕張メッセで開催される。
TECHNO-FRONTIER 2017の開催に先立ち、アイティメディアが運営するEE Times Japan、EDN Japan、MONOist、スマートジャパンの4メディアではTECHNO-FRONTIER 2017の特集ページを設け、各編集部が厳選した見どころ情報や関連リリース、速報記事、イベントレポートなどを多数紹介する。
今回は、横河メータ&インスツルメンツの出展内容を紹介する。
モーターの高精度制御の検証に役立つソリューションを
横河メータ&インスツルメンツは、「モーターの高効率、高出力、高精度制御の検証に役立つ開発、評価用ツール」をテーマに掲げ、電力測定と波形測定の観点から、開発および評価作業を支援するためのソリューションを紹介する。
現在、限られた電気エネルギーを最大限有効に利用するために高効率のモーターを高精度に制御できるドライブ装置の開発が進められている。その性能向上と電力変換効率を追求するためには、高精度測定による特性評価が不可欠となるからだ。
展示品の目玉の1つは、次世代インバーターやモーターの開発にマッチした6チャンネルおよびマルチ機能の電力アナライザ「WT1800E」である。電気自動車(EV)用モーターなど大電流や大電力の測定に使用される電流センサー用の電源を本体に内蔵できる上に、専用のケーブルなどアクセサリー類によって、アナライザ本体とセンサーを容易に接続できる。インバーターやモーターの評価試験で不可欠な耐ノイズ性能を飛躍的に高めているとする。
さらに、SiCデバイスを用いたインバーターおよびモーターシステムの評価用ツールとして、高精度電力アナライザの「WT3000E」、高速・絶縁・多チャンネル入力のスコープコーダー「DL850E」、さらに8チャンネル入力のオシロスコープ「DLM4000」を組み合せたシステム全体の総合的な性能評価を紹介する。
WT3000Eは、インバーターやモーターの消費電力とトルクから計算される出力を同時に測定することで、インバーターを含めたシステム全体の効率を評価する。DLM4000は、インバータに使われるSiCデバイスの高速スイッチング波形を8チャンネルまで同時に観測することで各デバイスのオン・オフ時間波形を観測し、タイミングや電圧レベルを確認する。
DL850Eでは、モーターに取り付けられたエンコーダーの出力波形を演算することで、モーター回転軸角度を検出できる。また、モーターに供給される電圧電流信号から電気角や電力パラメーターをリアルタイムで演算できる。モーターの回転速度・トルク・振動・温度などの物理量を、長時間にわたり同時に記録できるので、システムの耐久試験をサポートする。
横河メータ&インスツルメンツはTECHNO-FRONTIER 2017について、「モーターやドライブ装置といったパワーエレクトロニクスのさまざまな分野の技術者が集まる中、測定器メーカーとして電力計測と波形計測の基本および応用技術やノウハウなど、測定・評価のためのソリューションを提案していきたい。お客さまの製品開発に関わる新たなニーズや現状の課題をお聞きすることで、今後の商品開発に生かしていきたいと考えている」とコメントした。
パワーエレクトロニクス分野に注目
横河メータ&インスツルメンツが、最も注目するトピックの1つがパワーエレクトロニクス分野だ。同分野では、今後SiCおよびGaNなどの高速スイッチングデバイスが、さまざまな製品に応用されていくことが期待されている。同社は、「これらのデバイスの高速スイッチング動作における損失・効率評価では、広いダイナミックレンジで高精度に測定できることや、耐ノイズ性能を向上させた評価技術が求められるようになる。さらに、電力測定と波形測定を同期させた評価手法の必要性が、より高まると考えられる。これらの新たなニーズの収集を行い、ビジネス拡大につなげたい」とコメントした。
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