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東芝 柴田氏が語るIoT/CPS時代に向けた重要技術微細化でない付加価値の創出を(2/2 ページ)

東芝 研究開発センター技監の柴田英毅氏は、2017年2月に開催された「第4回グリーンイノベーションシンポジウム」で、IoT/CPS実現に向けたMore than Mooreについて講演を行った。本記事では、エナジーハーベスト(環境発電)とストレージ技術に関する講演部分を紹介する。

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東芝が取り組むTSV-NAND技術

 次に、高速大容量ストレージデバイスシステムの講演部分を紹介する。電力消費を抑制するためHDDからSSD化が進み、メモリストレージの需要は増えているが、求められる基本要素は不変という。「大容量」「高速性」「低消費電力」の3つである。

 大容量化は、メモリ大手各社が3次元構造のNAND型(3D NAND)フラッシュメモリの開発を進めている。東芝は原子力事業の損失により、メモリ事業を分社化して、新会社の過半株式売却を検討していることを発表したが、2015年3月から32層 128Gビットの3D NANDフラッシュ「BiCS FLASH」を世界に先駆けて展開してきた。2017年2月には、64層 512Gビット品も発表。大容量化は、確実に進んでいるといえる。


TSVを用いたNANDフラッシュの開発を進める東芝 (クリックで拡大) 提供:柴田英毅氏

 高速化、低消費電力化に向けて東芝が取り組むのは、TSV(Through Silicon Via、シリコン貫通ビア)を用いたNANDフラッシュの開発である。柴田氏によると、ワイヤボンディングを用いたチップ間電極数が100本程度なのに対して、TSVを用いると1000本以上に増加する。そのため、信号並列処理により2倍以上の高速化が可能だ。低電圧駆動による50%以上の低消費電力化、パッケージサイズの縮小にもつながる。

 2015年8月に米国で開催された「Flash Memory Summit 2015」では、世界初とするTSV技術を用いた16層 256GバイトのNAND型フラッシュメモリを展示した。入出力データレートは、1Gビット/秒以上を実現。従来のNANDフラッシュメモリと比較して、リード動作とプログラム動作、データ入出力動作において消費電力を半減している。

 同展示会のPMC-Sierra(現MicroSemi)ブースでは、TSV-NANDを用いた4Tバイト SSDの試作品が展示され、従来比で60%の消費電力削減につながることが分かったという。柴田氏は「TSVの適用により、データサーバだけでなく、モバイル端末やウェアラブル端末、センサーネットワークなどにも活用できる可能性がある」と語る。


世界初とする「NAND-TSV」を展示 (クリックで拡大) 提供:柴田英毅氏

 柴田氏は、講演の最後に「IoTにおける異業種縦型連携の重要性」を説明した。IoT社会の実現には、半導体、電子デバイスの研究開発を最終出口とした従来の同業種間の横型連携だけでは不十分である。最終的なアプリケーションを見据えて、デバイスの開発から、モジュール化、システム化、社会実装までを行う組織が必要と指摘する。

 2016年9月には、アルプス電気、荏原製作所、テセラ・テクノロジー、東京エレクトロン、東芝、凸版印刷、ニューソンが出資して、デバイス&システム・プラットフォーム開発センターを設立。IoT関連の研究開発を異業種縦型連携で進める狙いだ。

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