ASML、2018年にEUV装置を20台以上出荷予定:ウエハー処理数は125枚/時間
ASMLは、2018年にEUV(極端紫外線)リソグラフィ装置を20〜24台出荷する計画だという。何度も延期を重ねながら開発を進め、ようやく出荷のメドが立ったようだ。
2018年にEUVリソグラフィ装置を出荷
オランダの大手半導体装置メーカーであるASMLは2017年4月19日(現地時間)、2018年に20〜24台のEUV(極端紫外線)リソグラフィ装置を出荷する計画を発表した。同社は、何度も延期を重ねながら、次世代リソグラフィ装置の製品化に向けた開発を続けてきた。
ASMLのプレジデント兼CEO(最高経営責任者)を務めるPeter Wennink氏は4月19日、2017年第1四半期決算報告の後にアナリストに向けて、1時間当たり125枚のウエハーを処理できて、光源の有効性を90%に高めたEUV装置開発の進展状況を語った。Wennink氏は、IntelやSamsung Electronics、TSMCがEUVシステムやEUV設備の最新成果を披露した半導体リソグラフィ技術に関する国際会議「SPIE Advanced Lithography 2017」(米国カリフォルニア州サンノゼ、2017年2月26日〜3月2日)で、新しいEUVリソグラフィ装置について発表していた。
Wennik氏は、「薄膜など、研究課題はまだ残っているが、顧客からの要望通りの時期にEUV装置を展開できる見込みだ」と述べている。
EUV装置は何年もの間、遅々として開発が進まず挫折を繰り返してきたが、今後2〜3年で展開できる用意がようやく整った。IntelやTSMC、Samsungなどの7nmプロセス向け装置から展開を始めるという。これらの大手半導体メーカーは、ASMLの技術開発を支援する「顧客投資プログラム」の一環としてASMLに投資している。
ASMLは4月19日に、同社の最先端EUVスキャナー「NXE:3400B」を21台受注していることを明らかにした。2017年中に出荷を開始するという。ASMLは、旧型の「NXE:3300B」と「NXE:3350B」を14台出荷しているが、その大半をアップグレードする予定だとしている。
半導体市場の調査会社である米国のVLSI ResearchでCEOを務めるG. Dan Hutcheson氏は、EE Timesに対して、「ASMLの報告には、EUVリソグラフィに関する予想外のニュースはなかった」と語った。
Hutecheson氏は、「ASMLは、ほぼ計画通りに開発を進めている。もちろん、重要なのは完全な製造を行える信頼性の高いシステムを提供できるのかということだ。ASMLは現在、一丸となってその実現に取り組んでいる」と述べている。
Wennik氏によると、ASMLは、IntelやSamsung、TSMC、GLOBALFOUNDRIESなどの顧客企業5社に向けて、21台のシステムの出荷準備を進めているという。同氏は、「ASMLは、さらに2社から、EUV装置の受注を獲得する見通しだ。つまり、IntelやTSMC、Samsungに続いて、EUV装置の導入を計画している半導体メーカーがあるということだ」と述べている。
【翻訳:滝本麻貴、編集:EE Times Japan】
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