需要増に応え開発中、絶対値出力のAMRセンサー:テクノフロンティア 2017
村田製作所は「テクノフロンティア 2017」で、AMRセンサー(磁気スイッチ)と開発中のAMRセンサー(リニア出力型)、MEMS加速度センサーを出展した。会場内にて、今後アナログセンサーのラインアップを拡充する予定であることを明かした。
3種のセンサーを披露
村田製作所は2017年4月19〜21日に幕張メッセで開催した「TECHNO-FRONTIER 2017(テクノフロンティア 2017)」で、AMRセンサー(磁気スイッチ)と開発中のAMRセンサー(リニア出力型)、MEMS加速度センサーを出展した。
AMRセンサー(磁気スイッチ)は、磁気抵抗素子が磁界を受けた際の抵抗値変動を検出するデジタルセンサーだ。スイッチの開閉、位置検出、水道の流量検出などで多数の採用実績がある。会場では、シリンダーのリミットセンサーとして使う例が紹介された。
真上を除いてどの方向の磁界も拾えるのが特徴の1つ。また、感度のばらつきを抑える独自のトリミング技術により狭偏差化を達成したことも強みだ。狭偏差化の実現は磁石サイズの縮小を可能にし、磁石とセンサーの合計コスト抑制に貢献する。
アナログ需要に対応
一方、開発中のAMRセンサー(リニア出力型)は、磁石移動時に磁界の強さに応じた信号を出力するアナログセンサーで、デジタル出力のセンサーよりも高精度に検出できる。用途には液量検出などがある。浮き内磁石の磁力変化を通じて、液面の高さを検出する。複数個を多段に並べれば、より詳細な検出が可能になる。
村田製作所は今後、アナログセンサーのラインアップを拡充していくという。その理由については、「民生機器用センサーの精度はさほど高くなくても問題ない。例えば、ノートPCはカバー(ふた)が閉じると低消費電力モードに入るが、ふたが閉じたと検出される角度は厳密である必要がない。しかし、産業機器用のセンサーは絶対値の検出が求められるため、デジタルセンサーよりも、絶対値を出力できるアナログセンサーのニーズが高まっている」と説明している。
ほんの少しの傾きも検知
村田製作所は、同じく開発中である静電容量式の3軸MEMS加速度センサーも展示した。独自の3D MEMSテクノロジーを持つ、フィンランドのセンサーメーカーであるVTIを買収したことが、同センサーの開発につながったという。
村田製作所のMEMS加速度センサーは、従来の加速度センサーよりも傾きを高精度に検知できる。会場のデモでは、傾けられても傾斜を検知しすぐ水平に戻るところを見せた。
MEMS加速度センサーの強みは、-40〜125℃という広い温度範囲のなかでも出力データが安定して変わらないことだ。また、±1.5g、±3g、±6gから用途に応じて検出範囲を選択できるのも大きな特徴だ。検出範囲を選択可能にしたのは、検出範囲が狭くなるほど検出精度が高くなり、検出範囲が広くなるほど検出精度が低くなるからだ。
初めは単に車の加速度センサーとして使われることが多かったが、最近では構造物ヘルスモ二タリングなどにも活用されるようになった。村田製作所によると、「橋やトンネルなどに設置しておけば、微妙な傾きをもとに危険を予知できる」という。
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