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強誘電体の基礎知識(前編)福田昭のストレージ通信(58) 強誘電体メモリの再発見(2)(2/2 ページ)

前回は、強誘電体メモリ(FeRAM)の研究開発が再び活気づいてきた背景を紹介した。今回から2回にわたり、FeRAMの基礎を説明する。そもそも、「強誘電体」とはどのような材料なのだろうか。

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圧電体と焦電体

 圧電体の中には、初めから分極して表面が電荷を帯びており、温度変化によって表面の電荷量が変化する性質を備えた材料がある。このような材料を「焦電体(pyroelectric materials)」と呼ぶ。焦電体表面では普通、分極は観測できない。なぜならば、大気中のイオン(対になる電荷を帯びたイオン)を表面電荷が吸着するので、正負の電荷が中和してしまうからだ。

 ただし、中和状態にある焦電体の温度を変化させると、表面の帯電電荷量が変化して中和状態から電荷を帯びた状態へとバランスが崩れる。このため、分極を観測できるようになる。

 なお、焦電体は全て、圧電体でもある。

焦電体と強誘電体

 既に説明してきたように、焦電体は圧電体であり、誘電体である。焦電体の中に、外部電界を印加して分極を生じさせた後、外部電荷をゼロにしても分極状態が残る性質を備えた材料がある。このような性質を「強誘電性」とよび、強誘電性を備えた材料を「強誘電体」と呼ぶ。

 外部電界をゼロにしたときに強誘電体に残っている分極のことを「残留分極」と呼ぶ。この残留分極を減らして分極をゼロにするためには、反対向きの外部電界を加えなければならない。


誘電体(Dielectrics)と圧電体(piezoelectric)、焦電体(pyroelctric)、強誘電体(Ferroelectric)の関係。出典:NaMLabおよびドレスデン工科大学(クリックで拡大)

後編に続く

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