パナの新型抗体、危険ドラッグ成分を現場で検出:不審物もその場で容易に判定
パナソニックは、免疫反応を利用した新型抗体(モノクローナル抗体)を開発した。危険ドラッグに含まれる成分を、現場で簡易的に検出することが可能となる。
危険ドラッグ成分の構造のみに結合
パナソニックは2017年8月、免疫反応を利用した新型抗体(モノクローナル抗体)を開発したと発表した。危険ドラッグに含まれる成分を、現場で簡易的に検出することができるという。
これまで危険ドラッグの成分を検出するためには、現場で採取したサンプルを検査室などに持ち帰り、大型測定装置で前処理などを行う必要があった。このため、短時間で検出結果を出すことが難しかった。
パナソニックが新たに開発したモノクローナル抗体は、低分子化合物の機能を維持したまま高分子化する技術と、この技術で作製した生成物(免疫原)を用いて免疫反応させることにより実現した。
一般的に抗体を作製するための免疫応答は、対象物質の分子量が10000以上の高分子であることが必須であった。このため、分子量が10000未満の低分子化合物では免疫応答が起こらず、抗体を得ることはできなかった。今回は、分子量が300前後の危険ドラッグでも、その構造を維持したまま、キャリアタンパク質に結合させて高分子化することによって、ナフチル系合成カンナビノイド構造を有する免疫原の合成に成功した。
このプロセスで重要となるのが、危険ドラッグとキャリアタンパク質との距離である。この距離が短いと、危険ドラッグ成分だけに結合する抗体を得ることが難しいという。逆に、その間隔が長すぎても、危険ドラッグ成分とキャリアタンパク質をつなぐ鎖(リンカー)が折れ曲がり、危険ドラッグ成分だけに結合する抗体を得ることが困難だという。
パナソニックは今回、リンカー長の最適化を行い、長さの異なるリンカーを有した危険ドラッグ成分の誘導体を新たに合成した。さらにキャリアタンパク質と結合させて高分子化した。これを免疫原として用いることで、免疫応答を生じさせることが可能となり、危険ドラッグ成分の構造のみに結合するモノクローナル抗体を作製することに成功した。
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