連載
IEDM 2017の講演3日目(12月6日)午後:絶縁体/金属の相転移が拓く新デバイス:福田昭のデバイス通信(124) 12月開催予定のIEDM 2017をプレビュー(8)(2/2 ページ)
これまで7回にわたり「IEDM 2017」の概要と注目の技術講演を紹介してきた。今回はIEDM 2017レビュー編の最終回として、開催最終日である12月6日午後のセッションから注目講演を紹介する。
GAAトランジスタによる初めての集積回路が動作
セッション37では、GAA(ゲートオールアラウンド)トランジスタによって集積回路を初めて試作した結果が発表される。
imecとApplied Materialsの共同研究チームは、シリコンナノワイヤの積層構造をチャンネルとするGAAトランジスタによってリング発振器を試作した結果を発表する(講演番号37.4)。CMOSプロセスで製造した。ゲート長の異なる3種類の41段リング発振器を作製し、いずれも動作を確認している。
そしてセッション38では、3次元構造のクロスポイントメモリを想定した、スピン注入磁気メモリ(STT-MRAM)の研究成果が登場する。
Avalanche Technologyは、1個のセレクタと1個の磁気トンネル接合(MTJ)でメモリセルを構成する、STT-MRAM技術を発表する(講演番号38.1)。セレクタのオンオフ比は10の7乗と高く、リーク電流は1pAと小さく、しきい電圧は0.3Vと低く、スイッチング時間は10ナノ秒と短い。メモリセルを試作して磁化反転が起こっていることを見せる。
(次回に続く)
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